米ツアーで2014年の賞金ランキングが86位と不振にあえいでいた女子ゴルフの宮里藍が、復活の兆しを見せている。2015年シーズンの序盤7試合を終えて、予選落ちはない。トップ10入りとはいかないが、安定したプレーをみせていて表情も明るい。

不振に陥った原因は、最大の武器であったはずのパットだった。5勝を挙げた10年は「パーオンしたホールでのパット数」が1・7で1位。平均飛距離は245・8ヤードで78位だったが、それをグリーン上のテクニックで補っていた。

悪夢の始まりは、08年から使い続けて米ツアーでの全9勝をともにした“大型マレット"と呼ばれる形のパターが13年に壊れたことだ。9月に国内ツアーのミヤギテレビ杯ダンロップ女子で新しいパターを試したところ「球が右に行きだした」という。あわてて元の形に戻したが、製品の個体差もあるため、失われた繊細な感覚は戻ってこなかった。

オフでも復調の糸口をつかめず14年に突入したが「恐怖心が大きすぎて、カップに入れようというレベルじゃなかった」。2季連続で勝利がなかったどころか、団体戦を除く22戦中で7試合も予選落ちを喫した。今季4戦目のタイで取材した際に教えてくれたのだが、どん底は14年の最終戦となった台湾選手権。長く組んでいるキャディから「もうこれ以上悪くならない」と慰められたが、逆に「そこまで言わなくても…」と少し怒りがこみ上げたという。それほど余裕がなくなっていた。

台湾で取材した時は、そこまでの状態だとは知らなかった。むしろ強く印象に残ったのは、その明るく誠実な人柄だった。日本人だけでなく、現地のファンやメディアに明るく接する姿勢は、とても「どん底」にいる人の態度ではなかった。米ツアー挑戦直後にはドライバーで悩み抜いた。その経験も生かしてまた飛躍できそうかと聞くと「上に行けるというよりは、根っこが強くなるという感じ。ドライバーのイップスの時は、克服すれば飛躍できると信じていたけれど」と表現した。根っこが強くなる―。ゴルフという、選手寿命の長いスポーツの選手だからこそ、そういう心境になるのかなと感じた。

パターに悩んで2度目の冬、父でコーチの優さんが合宿に持参した古いパターに好感触を得て、今シーズン序盤はそれを使用した。宮城・東北高3年でミヤギテレビ杯を制した時に使っていた形のもので「昔の感触って残っているんだな」と驚く。1ラウンド平均28台のパット数でトップクラスと言われ、宮里もかつてはその水準にあった。14年は30・71で、今季はここまで30・04。数字も上向きな状態を裏付けている。

ショットはほれぼれするほど曲がらない。30歳目前でも、十分に戦えるレベルの飛距離を維持し、正確さで好位置につける。あとは、グリーン上で入るか入らないか。もちろんそれが難しいのだが、課題山積というわけではない、という点に光明があると感じている。

森安楽人(もりやす・らくと)2008年共同通信社入社。本社運動部から大阪社会部、同運動部で勤務。13年末に本社に戻り、ゴルフやレスリング、テニスなどをカバー。大阪府豊中市出身。