開幕3戦を終えてF1の勢力図がハッキリしてきた。昨シーズンは、19戦16勝という圧倒的な強さを見せたメルセデスに、レッドブルやウィリアムズが迫るという図式だった。今季も変わらない強さを見せるメルセデスのライバルに名乗りを上げたのが、フェラーリ。F1の歴史が始まった1950年から参戦し続けている、言わずと知れた名門だ。

昨季、フェラーリは未勝利に終わった。93年シーズン以来の不名誉な記録だ。これを受け、フェラーリは大幅な組織改編を断行した。まず、チームを長年率いてきたルカ・ディ・モンテゼモロが昨年10月13日付で退く。後任には、セルジオ・マルキオンネが親会社であるフィアット・クライスラー・オートモービルズCEOを兼任する形で就いた。11月にはチーム代表に元フィリップモリス副社長で、フェラーリのメーンスポンサー(車体にはロゴ等の表示は一切ないが、スポンサー契約を継続中)であるマールボロのブランドアンバサダーを務めていたマウリツィオ・アリバベーネを指名した。

そして、レッドブルで2010年から4季連続で王者を獲得したセバスチャン・フェテルと契約した。体制一新の効果はすぐに形となって現れる。第2戦マレーシアGPでフェテルが優勝したのだ。

まるでハリウッド映画ばりのサクセスストーリーだが、フェラーリには以前にも同様の成功事例がある。それがミヒャエル・シューマッハーとともに生み出した伝説だ。1991年からの3季は未勝利。続く、2シーズンも1勝ずつしか挙げられない低迷期にあったフェラーリは96年、94年から2季連続王者のシューマッハーを迎えた。

そのシーズンに3勝を挙げたシューマッハーは、その後も毎年年間王者争いに絡んだ。99年には16季ぶりのコンストラクターズタイトルをチームにもたらし、翌2000年はコンストラクターズとドライバーズの2冠を獲得。フェラーリのドライバーが年間王者に輝くのは1979年のジョディ・シェクター以来、21季ぶりのことだった。そこから、5季連続で両タイトルを独占したサクセスストーリーは多くの人が知っている。

今シーズン、いきなり勝利を飾ったフェテルを前に、世界中のフェラーリファンはシューマッハーの再来だと感じている。同じドイツ人で、シューマッハーがそうであったように働き続けることをいとわない。事実、初めてファクトリーを訪れたときにフェテルは、エンジニアに1000問以上の質問を浴びせたという。そして、シューマッハーにとっての名伯楽だったイギリス人のロス・ブラウンの立場には、同じイギリス人のジェームス・アリソンが就いた。

時代は繰り返すのか? そこにも注目してレースを見てみたい。(モータージャーナリスト・田口浩次)