第27回ユニバーシアード冬季大会は、スロバキアとスペインで1~2月に合計21日間という異例の長丁場で開催された。2年に1度行われ「学生の五輪」とも言われる国際総合大会だが、今回の分散開催は大会が岐路に立たされていることを強く印象付けた。

羽田空港から飛行機を2度乗り継いだ上に1泊挟み、電車で約4時間半移動し、さらにタクシーに30分強。日本を出発してから丸2日以上かかってたどり着いたのが、スロバキア北部の主会場ストラブスケプレソだ。冬にはにぎわうスキーリゾート地は、元々ユニバを実施する予定ではなかった。2009年に大会を主催する国際大学スポーツ連盟(FISU)がスペイン・グラナダでの単独開催を決めた後、「経済的な問題」(FISU)などからノルディックスキーとバイアスロンをスロバキアへ譲らざるを得なくなった。13年大会は同じような理由によってスロベニアのマリボルからイタリアのトレントへ変更されている。ユニバは五輪やワールドカップといったメガイベントほど注目されず、経済波及効果が見込めない。また、冬季競技の総合大会を開催できる設備を備えた都市は限られる。開催地選びは悩ましい問題で、解決が難しい。

その打開策として主催者が打ち出したのが、初の2カ国開催だった。競技を分散させることでそれぞれの国への金銭面の負担は減り、開催した自治体は割安で国内外へアピールできる舞台となる。閉幕前日の2月13日に会見したFISUのガリアン会長は得意満面な様子で「メジャーな総合大会でも分散開催できっちりと組織できることを実証した。成功だった」と景気の良い言葉を述べた。

しかし、この発言はあくまで運営側の視点だ。たとえば日本選手団はスロバキア、スペインにそれぞれ大会前から本部員を置き、人員と金を多く割かざるを得なかった。3週間の会期で日本の役員も疲労が色濃く見え、閉会式が終わると「疲れたね」と心底ほっとした表情でこぼす役員も。選手にとっても、開催地や時期が分かれたことで参加選手も分散し、総合大会らしさをあまり味わえないまま終わってしまった。欧州ではサッカーの欧州選手権がオランダとベルギーなど隣国で共催された例があるが、経済圏も文化圏も全く違うスペインとスロバキアでは移動や対応は大変だった。

ユニバにはユニバの良さがあることは間違いないと思う。五輪を目指す若いアスリートたちには外国勢と厳しい環境で戦う貴重な経験となる。学生同士の国際交流という側面もあり、非常に和やかなムードが流れる独特な雰囲気を持つ。国際総合大会ではメダルの数にとかくこだわりがちだが、今回は試合で好成績を出せなかった選手が勝者をたたえる姿が多かったことが記憶に残った。そんな大会をより良いものにできるかは主催者の双肩に懸かっているが、課題は山積している。

吉田 学史(よしだ・たかふみ)1982年生まれ。東京都出身。2006年共同通信入社。仙台、盛岡、前橋の支社局で警察や行政を担当して12年から大阪運動部で高校野球やサッカーを取材。14年12月に本社運動部へ異動して水泳、フィギュアスケートなどをカバー。