女子の世界ボクシング評議会(WBC)アトム級チャンピオン小関桃(青木)が8月2日、同級2位デニス・キャッスル(英国)を8回TKOに破り、14度目の防衛に成功した。2008年8月、王座を獲得して以来、6年間で積み上げた堂々たる数字である。

しかし、ほとんどのマスコミが「具志堅を超える国内最多」と報道したことには疑問を感じた。比較できないもの、比較してはいけない例ではないだろうか。

日本のボクシング界は1952年、白井義男が初めて世界タイトルを獲得。その後、60年以上も激闘の歴史は続き、個性あふれる名王者に酔わされてきたファンは多い。

その王者たちも「タイトルは奪うより守る方が難しい」という格言を味わわされる。

挑戦者は世界王座という大目標に向かい、すべての力を注ぎ込んでくる。しかも世界ランカーは多士済々。そのアタックをかわしていくのは簡単なことではない。

日本では70年代半ばまでスーパーフェザー級の小林弘(中村)、スーパーウエルター級の輪島功一(三迫)の6度防衛が最長。ファイティング原田(笹崎)もバンタム級王座を4度守るのが精いっぱいだった。

海外での最長記録はヘビー級ジョー・ルイス(米国)が持つ25度。途方もない数字に対し、まず日本ボクシング界では誰が、いつ「二桁防衛」を達成するか、が注目の一つだった。

そこにすい星のように現れたのがライトフライ級の具志堅用高(協栄)である。

アマチュアのスターだった具志堅はプロ転向後も順調に成長。76年10月、鮮やかなKO勝ちで世界の頂点に立った。

サウスポーからの天才的なコンビネーションで挑戦者を寄せ付けず、実に13度の防衛に成功した。この記録は具志堅が引退して30年以上たっても破られず、偉大なる数字として歴史を飾っている。

やはり具志堅の日本記録と小関の防衛回数を比べることは無理があるような気がする。もちろん、小関の14度防衛は立派。テクニック、パンチとも一段と磨きがかかり、第一人者としての存在感を見せている。

しかし、両者は全く別の世界なのだ。新聞各紙を見ながら「比べることは具志堅に失礼ではないか。違う土俵で闘っているのは明らか。あくまでも参考記録」とつくづく思った。(津江章二)