F1はシーズン開幕からすでに3戦を終えた。

現在メルセデスAMGチームが3連勝。現王者セバスチャン・フェテルは「現時点での最強パッケージを作り上げたのはメルセデスAMGだ」と強さを認め、レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーは「現在我々が使用しているルノー製のパワーユニットとメルセデス製のパワーユニットには、80馬力ほどパワーに差が出ているのではないか」と厳しい状況を語った。

この厳しい状況はフェラーリも同じで、4月14日、チーム代表であったステファノ・ドメニカリが突然辞任を発表した。

今シーズンは王座奪回を目指すべく、フェルナンド・アロンソとキミ・ライコネンというチャンピオン経験者同士をチームメートとして組ませ、誰もが最強と認めるドライバーズラインナップだった。

しかし、メルセデス製エンジンとのパワー差はいかんともしがたく、ふがいない結果が続いていた。

そんななか、フェラーリ社の会長であるルカ・ディ・モンテゼモーロがバーレーンGPを視察に来たが、レース中に「直線で遅いフェラーリを見ることは苦痛だ」と語り、チェッカーフラッグを受ける前にサーキットを去った。

会長の行動に、何らかの決断が下るだろうと周囲は予感していたと言うが、それでもチーム代表の更迭という人事はF1界に激震が走った。

一方、現時点で圧倒的なアドバンテージを得たメルセデスAMGをはじめとするメルセデス製パワーユニットを使用するチームは余裕の表情だ。

現在、ニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンが勝利を独占し、ドライバーズチャンピオンシップでも1位と2位を争うなか、チーム代表のトト・ウォルフは「二人に対してチームオーダーは出すつもりはない。ただし、確実にマシンをチェッカーまで持ち帰ること、とだけ伝えている」と語った。

バーレーンGPでの手に汗握る二人のバトルは、そうしたなかで実現したものだった。

厳しい燃料制限などで、シーズンが始まる前は完走さえ難しいのではないかと予想されていた今年のF1マシンたちだが、ふたを開けてみれば周囲の予想をいい意味で裏切るほどに速さを手にしていた。

ここから中国GP、スペインGPと、開幕戦で手にしたデータをフィードバックするタイミングになる。各チームがどのような進化をするのか注目していきたい。(モータージャーナリスト・田口浩次)