日本野球機構(NPB)が審判員養成のために新設した「アンパイア・スクール」の1期生から、4人の審判員が誕生した。1月18日から6日間、さいたま市で初開催したスクールには女子を含む52人が参加した。選ばれた4人は2月に沖縄県での日本ハム、阪神、DeNAのキャンプに参加して実地でジャッジする“最終試験"に合格。3月7日に東京都内のNPB事務局で晴れて契約を結んだ。

NPBは審判員の養成のためにスクールを新設し、これまではいくつかあった新規審判の採用方法を修了者のみに一本化する方針を決定。これに伴い、審判員の契約体系も拡大した。プロ野球の審判には1,2軍の試合に出場するNPB契約と2軍で技術を磨く育成契約があったが、今回、国内の独立リーグなどで研修を積む研修契約を新設し、派遣先としてルートインBCリーグ、四国アイランドリーグplusと提携した。育成契約と研修契約の審判員は3年をめどに昇格できるか判断される。

新制度では、競争による審判員の技術向上が期待される。今回契約した4人は20歳前後と若く、審判経験もあり技術的な評価が高い。NPBは今後もスクールを毎年開催し、有望新人と契約していく方針で、前審判長の井野修審判技術委員長は「競争でレベルは上がる。若手審判員は追い抜かれれば、いらないと言われるからね」と期待。若くて体力のある経験者や選手OBの挑戦を求めた。若くして現役を退いたOBのセカンドキャリアとしても魅力的な選択肢になるかもしれない。

さらに、将来的には米大リーグ機構(MLB)の審判学校と連携し、研修生を米国の教育リーグなどに派遣するプランもある。MLBの審判員制度は競争が激しく、全米に二つある審判学校の成績上位者がトライアウトを経て毎年、平均30人が採用される。ルーキーリーグから1A、2A、3Aと各カテゴリーで高く評価されなければメジャーにはたどり着けない。新人が米国の競争意識を肌で感じ、日本に持ち帰ることが狙いにある。2005年から6年間、メジャーの審判員を目指してマイナーで審判員を務めたNPBの平林岳審判技術委員は「米国では30人採用されると30人が辞めて新陳代謝が激しい。日本でも新制度でそういう新陳代謝になっていく」という。

3月7日に契約した4人のうち、青木昴氏(20)、小石沢健氏(22)が育成審判、片桐健氏(20)、水口拓弥氏(19)が研修審判に振り分けられた。“審判新世代"が這い上がり、近い将来、1軍の公式戦を機敏に仕切ることを期待したい。

山川 岳(やまかわ・たかし)1974年、札幌市出身。99年、共同通信に入り2年目からプロ野球の近鉄から巨人まで5球団を担当。2008年からロサンゼルス、ニューヨーク支局でドジャース、ヤンキースなどを担当。12年末の帰国後はWBC、日本野球機構(NPB)などを取材。