2014年を迎え、F1は新たなレギュレーションと呼ばれるルールの下、間もなく各チームがニューマシンを登場させる。

今年、最大の変化はV8自然吸気エンジンからV6ターボへの変更。ターボエンジンの復活は実に26年ぶりの出来事で、長く甲高いと言われてきたF1サウンドは大きく変わることになりそうだ。

そして、2種類のエネルギー回生システム搭載も新レギュレーションで決まっている。一つは09年から導入が始まった、市販のハイブリッド車などと同じように、ブレーキ時の動エネルギーを電気に変換して回生してバッテリーに充電、その電気でモーターのパワーを追加するもの。もう一つは、今年新たに導入が決まった、エンジンがこれまで捨てていた排気で発生する熱エネルギーを電気に変換して、この電気を再びパワーとして使用するというものだ。

この二つ目の熱エネルギー回生は、市販車でもまだ採用している例はなく、F1での開発競争が、近い将来市販車にも生かされるものと期待されている。

F1マシンが新しい技術導入を決定したのは、モータースポーツに向けられたエネルギーの無駄遣いというイメージを変えたいという点が大きい。現在、多くの市販車がより省燃費を追求しているのと同じように、F1マシンも速さを失うことなく、省燃費を実現するという難題に挑戦しようとしている。それが使用燃料の制限だ。

13年のF1マシンでは、約300キロのレースを戦うために、150キロの燃料使用が許されていた。しかし、14年はレース距離は変わらず100キロまで燃料使用が制限される。実に3割以上も燃料が減る計算だ。

逆に言えば、これまでと同じ速さを実現するためには、エンジンやハイブリッド技術のエネルギー効率を33%以上高めなければならない。そのため、エンジニアからは「完走も実は難しいのでは?」などという声も聞こえるほどだ。

しかし、どんな無理難題も乗り越えてきたのが技術者という人たちだ。“馬は土から"ということわざがある。良い馬を生むには広く良質な土地が必要という意味だ。

人類が月に行ったアポロ計画という“研究分野の土地"から、さまざまな分野で人々の生活に役立つ技術が生まれたように、今年、F1の技術者たちが挑戦する“研究分野の土地"からは、きっと幅広い分野に役立つ技術を生み出されるに違いない。(モータージャーナリスト・田口浩次)