スペインでは、モトGP18戦中4戦が開催される。世界各国を転戦する選手権シリーズで、同じ国での年間4戦は確かに多いが、これはモータースポーツ、特にロードレース人気が高いことの反映であるともいえるだろう。

5月上旬にアンダルシア地方のヘレスでスペインGP、6月中旬にはバルセロナ郊外でカタルーニャGP、そして同国3回目の開催が、9月29日に決勝レースを行った第14戦アラゴンGPだ。

内陸部の荒涼とした地域にもかかわらず、3日間総計で10万8000人を超す観客を動員したところに人気の高さが表れている。競技の人気が高いと選手層は厚くなり、選手が活躍するとさらに人気が過熱する。

決勝日最初のレースだった最小排気量のモト3クラスでは、スペイン人3選手が表彰台を独占した。モト2クラスの決勝でも、表彰台に登壇したのは全てスペイン人選手だった。

メーンイベントの最高峰・モトGPクラスでは、20歳のスーパールーキー、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が今季6回目となる優勝を達成。2位には2012年チャンピオンのホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)が入った。3位にイタリア人選手のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)が入ったため、惜しくも3クラス全9表彰台をスペイン人選手が独占するには至らなかったが、表彰台占有率に勢いが端的に表れている。

ちなみに、スペインGPとカタルーニャGPの際にも、スペイン勢は9つの表彰台のうち8つを獲得した。

まさにスペイン最強時代という状況だが、これを象徴しているのが、マルケスの快進撃だ。最高峰クラスを戦うのはことしが初めてにもかかわらず14戦で13表彰台を獲得。ポイントランキングでも2番手のロレンソに39点差をつけ年間総合優勝は確実視されている。

今回のレースを終えて、マルケスは「前戦と前々戦はホルヘが勝っていたので、きょう勝てたことはとても意義が大きい。もしも、きょうのレースでホルヘが勝てば、精神的にさらに強みを増していただろうから、今回はホルヘに勝つことを目標にしていた」と語った。

シーズン終盤4戦が全て2位でも総合優勝を獲得できるだけの有利な点差を築いているが、手堅いレースをするつもりはない、とも話す。「今までとやり方は何も変えない。自分たちがなすべきことに集中し、これから先も全力を尽くすだけ」

ルーキーイヤーだけに、失うもののない強みが走りをさらに大胆で思い切りよくさせている。最短なら10月中旬の第16戦オーストラリアGPで史上最年少チャンピオンが誕生する。(モータージャーナリスト・西村章)