7月下旬から8月半ばまで、モトGPは3週間少々のサマーブレイクに入った。この休み期間を利用し、8月6、7日の両日、日本のツインリンクもてぎで、ホンダ、ヤマハ、スズキがテスト走行を実施した。特にホンダは、昨年いっぱいでロードレースから引退したケーシー・ストーナーが走行するとあって、注目を集めた。

2007年にホンダサテライトチームからドゥカティへ移籍し、その年にチャンピオンを獲得。11年にホンダワークスのレプソル・ホンダ・チームへ移ったストーナーは、持ち前の圧倒的な速さで10勝を挙げ、2度目の年間総合優勝を達成した。翌年5月に、「今のモトGP界は自分の望む姿とかけ離れつつある」ことを理由に、その年いっぱいで引退すると電撃発表した。

宣言通り、昨年末で二輪ロードレースの世界から去り、今回のテストは9カ月ぶりの走行になった。初日の6日は、悪天候のためわずか6周にとどまったが、7日は精力的に47周を走り込み、13年仕様のファクトリーマシンに加え、来年仕様のテストも実施した。2日間の日程を終えると、初日の遅れをリカバーして実のあるテストになったことを述べ、一部で取り沙汰される日本や地元オーストラリアでのワイルドカード参戦については「私の望んでいることではなく、気持ちに変化はない」と、あらためて可能性を否定した。

HRC副社長中本修平は「多くのデータや開発のヒントを得ることができた。このことで開発スピードを加速させ、今年のタイトル獲得につなげていきたいと考えている」とコメント。前半戦を終えて、現在のランキングはレプソル・ホンダのマルク・マルケスが163ポイントでリード。チームメートのダニ・ペドロサが16点差で追う格好だが、優位を維持し続けるためにも、「世界最速のテストライダー」ストーナーの試乗は大きな意義があったことだろう。

一方、ホンダの両選手を小差で追うヤマハ陣営は、ツインリンクもてぎでテストライダーの中須賀克行が走行。チェコのブルノサーキットではホルヘ・ロレンソとバレンティーノ・ロッシがテストを行った。ロレンソとロッシは、開発陣に対して以前からシームレスギアボックスの導入を要求している。変速時のロスをなくすこの方式を、ホンダは11年から既に使用している。ヤマハ開発陣の試算では、「平均して0秒15~0秒20ほどの短縮になる」という。たとえわずかであっても、タイムアップの材料になるものは欲しくなるのがライダー心理というものだ。

選手たちのリクエストに対し、「もう間もなく。期待してほしい」(技術開発部MS開発部主管・中島雅彦)と、後半戦での実戦投入を計画しているが、具体的な時期に関しては「それは秘密」と笑う。ホンダ、ヤマハそれぞれが、王座獲得へ向けて着々と準備を整える中、シーズン後半戦が米国のインディアナポリスで始まり、決勝は現地時間の8月18日(日)に行われる。(モータージャーナリスト・西村章)