現在、日本人ドライバー不在のF1だが、小林可夢偉がフェラーリと契約して、WEC(FIA世界耐久選手権)に挑戦しながら来季復帰を目指していることは広く知られている。では、次世代を担う若手はどうなのか?

7月17日から19日までの3日間、イギリスにあるシルバーストーンサーキットで若手ドライバー向けテストが開催された。これは、近い将来シート獲得を目指すドライバーたちが、F1マシンを走らせるチャンスを得たもの。今回のテストでは、タイヤテストのみの条件でレギュラードライバーの参加も認められたため、若手ドライバーのチャンスが減ったと言われているが、それでも19名の若手がテストに参加。日本人ドライバーとしては、AutoGP参戦中の佐藤公哉がザウバーのシートに座った。

兵庫県出身で23歳。彼が参戦中のAutoGPとは、WTCC(世界ツーリングカー選手権)と併催する形で開催されているフォーミュラレースで、2010年からシリーズがスタートし、その初代王者はロータスのロマン・グロージャンである。佐藤はAutoGPでランキングトップを走っており、その実績をベースにザウバーと交渉の結果、テスト参加のチャンスを得た。

佐藤に限らず、今回のテストに参加した他のドライバーたちも、他カテゴリーで有望な若手ドライバーであったり、チームとの交渉に長けたマネージメントがついたりしていた。これが何を意味するのかと言うと、F1までステップアップするためには、速さという才能があることは最低条件で、そこからさらなる交渉力が必要ということ。ビジネスの世界に置き換えれば、F1チームは大手企業であり、その企業との契約を結びたい中小企業が、それぞれ自社の将来性や技術力をアピールする場、それがF1テストというわけだ。

なにしろ、F1以下のカテゴリーには、世界各国のF3選手権、GP3、GP2、フォーミュラ・ルノー3・5、そしてAutoGPと、カテゴリーだけでも数があり、毎年、何名ものF1レベルの速さを持つ若手が誕生している。そこからF1チームが魅力を感じるプラスアルファをアピールしなければならない。

佐藤がこの先F1シートを獲得できるかはわからないが、そうした挑戦をしている日本人も続々と誕生している現状は明るい兆しだと言えるだろう。(モータージャーナリスト・田口浩次)