「驚異の新人」が驚異のリザルトを達成することは、もはや当たり前の出来事とみなされつつあるようだ。第8戦ドイツGPは、モトGPルーキーの20歳、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が今季2度目の優勝。25ポイントを加算して、年間ランキングでも首位に立った。

マルケスがモトGPデビュー2戦目の第2戦アメリカスGPで初勝利を挙げた際は、最年少優勝記録更新などもあってセンセーショナルな話題になった。だが、今回は、シーズン中に数あるエキサイティングな優勝のひとつとして受け止められていたような感がある。理由は、今季のここまでの実績を見ればよく分かる。超大型ルーキーとして注目されたマルケスは、開幕戦で早速3位表彰台を獲得し、第2戦で優勝。衝撃的な話題を集めたこのレースの後も、コンスタントに表彰台を獲得しつづけた。第5戦イタリアGPこそ、2番手走行中の終盤周回に転倒してノーポイントに終わったが、それ以外のレースでは毎戦必ず表彰台に登壇している。それだけの実績をあげてきたマルケスは、第8戦の段階で既に「勝っても当然」のライダーの仲間入りをしていたというわけだ。

今回の戦いの舞台となったザクセンリンクサーキットでの過去の成績を振り返ると、モト2時代の2011年と12年はともにポールトゥウィンを飾っている。また、125CCクラス(当時)で年間総合優勝を達成した10年も、ポールトゥウィン。今年を含めて4年連続でポールポジションからスタートして優勝した、ということになる。

今回の第8戦では、チャンピオンを争うホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)とダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)がともに練習走行で転倒して負傷し、決勝を欠場した。彼らを欠いたレースでの勝利に、マルケスは「今回はダニとホルヘのいない特殊な状況だったけれども、25ポイントを獲得できたことの意義は大きい。モトGP2勝目の今日は、レースを引っ張って後続との差もうまくコントロールできた。とてもいい経験になった。でも、本当は何台かで激しいトップ争いのバトルをする方が自分の好みには合っている」と述べた。

今回のレースで2位に入ったカル・クラッチロー(モンスター・ヤマハTech3)は、「ホルヘとダニがいなかったのは残念だけど、今日のマルクはとても速かった。たとえ彼らがいたとしても(マルケスの優勝という)結果が変わっていたとは思えない」と話した。第9戦が開催されるアメリカ西海岸のラグナセカサーキットは、難コースとしても有名だ。マルケスにとっては初体験の場所。だが、彼がそこで優勝したとしても、おそらく誰も驚きはしないだろう。(モータージャーナリスト・西村章)