F1シーズンは第7戦カナダGPを終え、レッドブルのセバスチャン・フェテルが勝利し、チャンピオンシップのリードを広げた。カナダGPが開催されるジル・ヴィルヌーヴサーキットは、モントリオール市内にある川の中洲にあり、地下鉄の駅が通っていることから観客のアクセスが抜群で、会場は世界各国からのファンも多く集まった。

実は近年、都市グランプリの割合が増えている。今シーズンも、オーストラリアGP、中国GP、モナコGP、カナダGP、そしてシンガポールGPと19戦中5戦が都市の公道や公園、公共インフラを整備したサーキットでの開催となっていて、来年以降もソチで開催するロシアGP、ニューヨークのハドソン川沿いで開催予定のUSGP(仮称)、バンコクでナイトレースを計画するタイGPなどが、都市グランプリとして名乗りをあげている。

都市グランプリの魅力はどこにあるのか? 観客側からすると、鉄道など公共交通インフラが充実していて、ホテルの選択肢が多く、飲食にも困らない点が魅力だ。旅行会社のツアーも多く、個人旅行でなくても海外グランプリが楽しめ敷居が低い。一方、関係者にも不評だったフランスGPが開催されていたマニクールは、周囲に宿泊施設が少なく、チーム関係者でさえ100キロ近く離れた宿泊地が当たり前、車移動が出来ない観客は片道数時間以上かけてパリからのバス移動というものだった。もちろん、イタリアのモンツァ、ベルギーのスパ・フランコルシャン、そして日本の鈴鹿サーキットのように、クラシックサーキットと呼ばれ、ドライバーだけでなくファンからも好評なサーキットは、多くのバスをチャーターするなどして、10年前、20年前と比較すれば、比較にならないほど交通網も充実していて主催者の継続への努力を感じる。

それでも、現代のグランプリは開催権料が高額なため、多くの主催者が地元自治体から補助を受けているのが現実だ。税金から多額の資金提供する自治体とすれば、世界に名前は売りたいが、その効果が計れなければ議会の承認は得られない。そうなると、宿泊利用や飲食利用で経済効果が目に見える都市グランプリが選択肢となってくる。今後年間20戦が定着しそうなF1では、都市グランプリの割合がさらに増えていくことだろう。(モータージャーナリスト・田口浩次)