担当するロッテが3月29日、本拠地QVCマリンフィールドでオリックスと対戦し、新しいシーズンのスタートを切った。今季のロッテは西武で選手として、指揮官としても日本一を経験した伊東勤新監督が率いる。新聞やテレビなどのシーズン前の順位予想では最下位と予想されるなど、低い下馬評が多かった。オフに積極的な補強をしなかったために、戦力の上積みがなかったように周囲は見ているようだ。伊東監督も「俺が評論家でも5、6位にするよ」と笑う。

それでも試合が始まればそんな厳しい見方も関係なかった。ロッテナインはグラウンドで躍動し、持っている力を示した。開幕戦は延長十二回表にオリックスに1点を勝ち越されたが、諦めずに裏の攻撃で押し出し四球とWBC日本代表の角中勝也の犠飛と、しぶとい攻撃で逆転サヨナラ勝ち。劇的な白星で波に乗ったチームは翌日も八回に代打ホワイトセルの犠飛で追い付き、またしても十二回にベテラン福浦和也の犠飛で勝負を決めた。チームでは1969年以来となる開幕から2試合連続のサヨナラ勝ちという快挙だった。

福浦は「諦めない粘り強さがある。明るく、選手たちも思い切ってやっている」とチームの思いを代弁した。伊東監督は「一気に成長してくれた気がする。苦しんで、苦しんで勝つのは大歓迎。勝ちたいという欲が出てくる」と選手たちの頑張りに表情を緩ませた。

オフに日本ハムから糸井嘉男を獲得するなど、積極的な補強を進めたオリックス相手の見事な戦いぶり。白星につながった大きな要因として一致団結して戦うチームワークの良さがある。30日は、福浦がサヨナラ犠飛を放つと選手たちはすぐに殊勲のベテランのもとに駆け寄った。周囲に輪ができると「1、2、3」の声が飛び、全員で腕を突き上げ「ダアーッ!!」とポーズ。アントニオ猪木さんの有名なパフォーマンスに球場は大きな歓声に包まれた。

グラウンドとスタンドが一つになった高揚感。この粋な演出を発案した9年目の大松尚逸は「一体感が出てくる。インパクトも最高でしょ」と胸を張った。今季ロッテに加入したG・G・佐藤は30日に合流した。チームの雰囲気について「びっくりするくらい良かった。チームメートもベンチですごく互いに声を掛けている」と話した。

開幕直前には監督、選手、コーチ、スタッフ全員が集まってチーム一丸を誓い合う決起集会を行った。新監督を迎え、チームの雰囲気は変わった。昨季5位からの巻き返すシーズンは上々の滑り出しとなった。伊東監督は「全員が束になってやってくれた。おごることなく、苦しんで、苦しんでこれからも勝っていってほしい」とうれしそうに話した。お金をかけて補強すれば強くなるかもしれないがそんなチームばかりでは面白くない。チーム一体となって戦う全員野球で、リーグの台風の目となるか。下馬評を覆す戦いぶりを見てみたい。

山形英資(やまがた・えいし)2007年共同通信社入社。名古屋運動部、大阪運動部を経て本社運動部に異動。11年からのプロ野球オリックスに続き今年はロッテを担当。熊本県出身。