モト2クラスで2シーズン目を迎える中上貴晶(イタルトランス・レーシングチーム)が、開幕に向けて好調な仕上がりを見せている。21歳の中上は、ドルナスポーツ社の「モトGPアカデミー」を経て、16歳でモトGP125CCクラスに参戦した。しかし、思い通りの結果を残せず、2年間を戦った後に帰国、全日本選手権へスイッチ。その全日本のJ-GP2クラスで2011年にチャンピオンを獲得し、昨年、グランプリ界に復帰を果たした。

2012年シーズンは、予選で最前列や2列目の好位置を獲得することも少なくなかったが、そのポテンシャルが決勝レースの結果に結びつかなかった。全17戦で最高位は第2戦の5位。年間順位は15位で終え、満足からほど遠いシーズンになった。

今年は予選の速さを決勝の結果につなげることを見据え、開幕前のテストを重ねてきた。2月のスペイン・バレンシアテストでは6番手タイム。翌週にヘレスサーキットへ場所を移して行ったテストでは総合2番手につけた。3月18日から21日まで再びヘレスで行われた開幕直前の最終テストでも、総合2番手タイムで締めくくった。

昨年は上位陣に加われば喜びを見せることもたびたびあったが、今年は2番手でも満足げな表情はない。「今年はモト2クラスでチャンピオンを獲得し、来年から最高峰のモトGPへステップアップしたい」という明確な目標があるからだ。かつてのチームメートには、既にモトGPクラスへ昇格している選手たちがいる。今年から鳴り物入りでモトGPに参戦するマルク・マルケスは、昨年のモト2クラスチャンピオンだが、中上よりも1歳年下だ。「プレシーズンから高水準の走りを披露する彼の存在は、とてもいい刺激になります。負けていられませんね」と語る。

今回の開幕直前テストでも、中上の貪欲な姿勢は言葉の端々に滲み出ていた。「マシンの状態もフィーリングもいい状態で出したタイムではなくて、課題をたくさん抱えた状況での2番手なので、限界はもっと高い位置にある。問題は、そこにいかに早く到達するか。間違いなく去年よりも格段に良くなっているし、満足いかない状況でも2番手なのは、前向きに捉えていいと思う。フィーリングが良くなれば、必ずタイムは良くなる。リラックスはできないけれど、楽しく走ることが一番だから、あとはそれを実行するだけですね」。4月7日(日本時間8日未明)に決勝レースが行われる開幕戦カタールGPで、中上は「楽しく」トップを争っているだろうか。(モータージャーナリスト・西村章)