ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本の3連覇はならなかった。18日(日本時間)に米サンフランシスコで行われたプエルトリコとの準決勝で1―3と敗れた。やはり、懸念された打線が大一番で振るわなかったことが敗因だった。優勝を争うと見られた韓国、キューバ、米国などが2次ラウンドまでに姿を消す波乱があった中で、「侍ジャパン」は準決勝まで進む最低限のノルマを果たしたといえる。反省するとすれば後手、後手に回った代表チームづくりに象徴される日本野球機構(NPB)の国際戦略のなさである。早急に手を付けてもらいたい。

▽チームづくりに着手できず

日本プロ野球選手会がWBC不参加を表明したのは昨年7月20日だった。WBCは大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会が「大リーグの世界戦略」のもとに考え出された大会で、その収益を吸い上げる構造になっている。これに異を唱え改善を求めていたプロ野球選手会が、動かないNPBに業を煮やしての不参加表明だった。結果、一部に改善が見られるとして9月4日の参加表明となったが、WBC監督に山本浩二氏が就任するのは10月に入ってからと、チーム作りに着手できない状態が続いた。

こうしたところにNPBの主体性のなさが如実に表れていた。もっと早くからWBCに対する日本の姿勢を打ち出していれば、少なくとも日本人大リーガーの代表入りがゼロといった事態にはなっていなかった、と私は思っている。

▽高視聴率の背景

サッカーはワールドカップ(W杯)を目指す日本代表監督が、代表候補選手をくまなく観察している。NPBも昨年の反省から代表チームの位置づけなどを含め、代表監督の専任をやっと言い出した。今後を見るしかないが、NPB内にそうしたことができるプロを育てることからしないといけないわけで、ここでも加藤良三コミッショナーの見識と指導力が厳しく問われる。

プロ野球の国際試合といえば、野球が五輪から外された今、誰しもWBCが頭に浮かぶ。しかも2大会連続の“世界一"とあって、今大会に寄せるファンの期待は膨らんだ。2次ラウンドの台湾、オランダ戦ともテレビ視聴率は30%台で、最高視聴率はなんと40%を超えたそうだ。日本人のオリンピック中継好きは知られているが、「日の丸」を背負ったプロ野球選手への肩入れも相当なものだった。

▽もっと国際的に活動を

もともとWBCは大リーグからの「招待試合」として始まったが、今大会からは参加が28チームに増え、初めて予選も行われた。こうした変化の背景には国際野球連盟(IBAF)の存在があるといわれる。WBCを世界一決定戦と認める代わりに、真の世界大会へ生まれ変われ、ということなのだろう。IBAFは野球の五輪復帰を目指し、ソフトボールと一緒になって「世界野球ソフトボール連盟」を立ち上げている。こうした世界の動きを見ていて思うのだが、プロ野球界は日本のアマ球界を束ね、WBCあるいは五輪復帰にもっと積極的に行動すべきだと思う。“外交交渉"こそ、元駐米大使の加藤コミッショナーの得意分野ではないのだろうか。

▽NPBは自ら稼げ

NPBの国際試合に「アジアシリーズ」がある。日本、韓国、台湾など各国のリーグ戦の優勝チームが覇を競うもので、昨年は巨人がアジア王者となった。2005年から始められた大会。しかし、赤字などから2008年限りで日本での開催はなくなるなど、大会のレベルや知名度の低さなどから、その存続が常に危ぶまれてきた。

だが、こうした国際大会を続けることで韓国や台湾、中国、オーストラリアなどの野球のレベルアップと普及が図られ、ひいては世界における日本の存在感が増すと思う。困難なのは資金調達だろうが、NPBもぼちぼち各球団からの拠出金頼みでない、機構自身の財政基盤の構築、つまり自ら稼ぐ仕組みを考えてみてはどうだろう。

田坂貢二[たさか・こうじ]のプロフィル

1945年広島県生まれ。共同通信では東京、大阪を中心に長年プロ野球を取材。編集委員、広島支局長を務める。現在は大学野球を取材。

ノンフィクション「球界地図を変えた男 根本陸夫」(共著)等を執筆