日本ボクシング界の悲願でもあった殿堂創設へ向け、ようやく一歩が印された。1月12日、聖地・後楽園ホール内で歴史的な逸品の展示が始まり、その機運が盛り上がってきた。日本プロボクシング協会の大橋秀行会長は「さらに内容を充実させ、将来的には博物館につなげていきたい」と抱負を語った。

これまで日本ボクシングコミッション(JBC)に関係者、ファンからお宝の数々の記念品が寄せられていた。昨年末、「一日でも早くファンに見てもらおう」とのJBC方針が決まり、後楽園ホールという最適の場所での展示が決まった。ファンの評判も上々だが、確かに並べられた写真、直筆グローブ、手形などには歴史の重みが詰まっている。

中でも「目玉商品」ともいえるのが大場政夫、青木勝利の逸品だろう。大場は1970年代にフライ級の世界チャンピオンとして活躍、不屈の根性が絶大なる人気を集めた。しかし、73年1月、現役王者のまま交通事故で亡くなった悲運の名ボクサーである。その大場のラストファイトがチャチャイ・チオノイ(タイ)との5度目の防衛戦。痛烈なダウンを喫し、右足を捻挫しながら12回、大逆転のTKO勝ちを収めている。まさに「伝説の一戦」だが、その時の大場の直筆グローブが展示されている。

60年代、日本はボクシング黄金時代を迎えた。青木の強打は「メガトンパンチ」と呼ばれ、ファイティング原田、海老原博幸とともに“フライ級三羽ガラス"としてブームを巻き起こした。世界王座には届かなかったが、サウスポーからのハードパンチは語り草となっている。その青木が東洋バンタム級王者時代にサインしたグローブも殿堂コーナーの一角を占めている。神戸在住のオールドファンから贈られたもので、足を運んで見る価値は十分にあるだろう。

そのほか、海外のスーパースターの記念品なども垂涎ものだ。ムハマド・アリ(米国)、ジョージ・フォアマン(米国)、ロベルト・デュラン(パナマ)、ジョー・メデル(メキシコ)らの手形、直筆写真などが所狭しと並べられている。JBCの森田健事務局長は「歴代の世界チャンピオンにも声をかけ、貴重な品物を増やしていきたい。早くも賛同の声は集まっています」と期待している。今後が大いに楽しみである。(津江章二)