日本選手団が過去最多38個のメダルを獲得したロンドン五輪で、注目を集めた種目の一つにアーチェリーが挙げられるだろう。男子個人で古川高晴(近大職)が銀メダルに輝き、女子団体では早川漣(長崎・佐世保商高職)蟹江美貴(ミキハウス)川中香緒里(近大)が同種目の日本女子で初のメダルとなる「銅」を獲得した。紙面などで取り上げられる機会が少ないマイナーな競技だが、この夏のロンドン五輪では日本選手の躍進もあり、テレビでも中継された。緊張感のある競り合いに一喜一憂し、競技の魅力を発見した視聴者も多いだろう。

そのアーチェリーの世界大会が9月22、23日と東京のど真ん中、日比谷公園の特設会場で開催された。今季3戦で争われたワールドカップ(W杯)のランキング上位選手が集まり今季のナンバーワンを決めるW杯ファイナルで、日本からは五輪メダリストの古川、蟹江らが出場した。都心というアクセスの良さもあり、2日間で計3000人以上が来場し、“五輪効果"を感じさせた。

この大会で実施された種目が男女のリカーブとコンパウンド。五輪で採用されているリカーブに出場した古川と蟹江は1回戦敗退と振るわなかったが、コンパウンド女子の本多由美子(北海道連盟)が1回戦でランキング1位のロシア選手を破り4位になるなど大健闘。本多は「よもや私が勝つとは誰も思っていなかったはず」と、してやったりの表情だった。

二つの種目の最も大きな違いは、使われる用具(ボウ=弓)の種類だ。コンパウンドの方は弓の上下の先端に滑車が取り付けられており、機械的な制御で弦を引くのに必要な力が途中から軽くなる仕組みだ。リカーブの弓よりも力を必要としないことなどから命中率も高いとされ、競技が盛んな米国などでは、子どもから高齢者までコンパウンドを楽しんでいるという。

53歳の本多は友人の誘いで30代後半から取り組み始め、第一線まで上り詰めた。「体力や筋力があまりなくても、技術やチューニングで戦えるスポーツ」と力説する。今大会にはロンドン・パラリンピック女王のダニエル・ブラウン(英国)が出場し、見事に準優勝。脚に障害を持ちながらも、健常者と対等に戦えることを大舞台で証明した。

非五輪種目ということもあり国内での普及はいまひとつのコンパウンドだが、海外での認知度は高く、世界選手権では正式種目として採用されている。「生涯スポーツとして長く続けられる競技だと思いますよ」と本多は言う。ロンドン五輪を見て何かスポーツを始めたくなった皆さん、コンパウンドボウを手に取り、世界を目指してみてはどうだろう。

鉄谷美知(てつや・よしとも)1977年生まれ。仙台市出身。2002年に共同通信入社。福岡支社、大分支局を経て07年に大阪支社運動部へ。ボクシング、サッカーなどを担当し、12年4月から運動部。