世界のボクシング界は現在、主要4団体で構成されている。老舗の世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)に加え、国際ボクシング連盟(IBF)と世界ボクシング機構(WBO)を合わせた4組織である。日本は従来、WBA、WBCだけを認めてきたが、ここにきてジム、協会サイドからIBF、WBOへの加盟を要望する声が高くなっている。この動きに対し、日本ボクシングコミッション(JBC)がどういう判断を下すのか、注目を集めている。

一つの大きなきっかけとなったのが2010年4月、当時のWBCバンタム級王者・長谷川穂積(真正)が、WBO同級王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)とグローブを交えた一戦である。「真の世界一は?」というファンの期待もあって実現、結果は長谷川が4回TKOで敗れた。しかし、最高峰レベルの攻防に両者に惜しみない拍手が送られた。今や世界王者は正規に加え、暫定、休養などの肩書まであり、「世界チャンピオンが4人も5人もいては誰が強いのか分からない。王者の価値が下がるだけ」と批判されている。世界王者の権威失墜が、人気低迷につながっているのも事実だ。

そして、米国で13日に待望の対決を迎える。スーパーバンタム級WBC名誉王者の西岡利晃(帝拳)が、IBF・WBO王者ノニト・ドネア(フィリピン)と雌雄を決する大一番だ。2年半前の英断が、このスーパーファイト実現に貢献している。団体の枠を超え、本当のチャンピオンを求めるファン心理を無視することはできないのだ。どちらが勝つにせよ、人気復活への足掛かりになるのではないだろうか。「世界一は誰なのか」。素朴なファンの疑問が解消され、タイトルの重みが増すのは間違いない。

西岡VSドネア戦のようにIBF、WBOも認め、真のチャンピオンを決める。その意味では新たな加盟を後押ししたくなる。しかし、不安がどうしてもぬぐえない。王者の粗製乱造である。世界王者に就く可能性が倍になり、タイトルマッチが増え、「これでも世界戦?」という嘆きが聞こえてきそうな気がする。

JBCに求めたいのは、王者の権威低下に歯止めをかける十分なルール作りだ。例えば挑戦者の有資格基準を厳しくし、安易な挑戦にはストップをかけるぐらいの毅然とした態度が必要だろう。それが加盟を認める絶対条件だ。(津江章二)