10月7日、決勝レースが行われる日本GPの開催地、三重県・鈴鹿サーキット。ここ鈴鹿サーキットが好きだというF1ドライバーは多い。昨年優勝したジェンソン・バトン、現王者のセバスチャン・フェテル、現在チャンピオンシップをリードしているフェルナンド・アロンソ、3人が声を揃えて言うのは「鈴鹿はチャレンジングなコースだ」ということ。マシンの能力ももちろんだが、ドライバーの腕が試されるサーキットなのだ。

そして今年、日本グランプリへとやってくる24名のドライバーのうち、鈴鹿優勝経験者はなんと6人もいる。先ほどの3人に加え、ミヒャエル・シューマッハー、ルイス・ハミルトン、そしてキミ・ライコネンである。全員ワールドチャンピオンという豪華な顔ぶれだ。当然この6人が戦いの中心となるだろうが、実はもうひとり、鈴鹿を得意とするドライバーがいる。そう、われらが小林可夢偉である。低速コーナーが中心のシンガポールGPは苦しんだが、「鈴鹿はザウバーのマシンにとって一番合っているコースだと思う」と本人が説明するように、セッティングが決まれば充分優勝を争える。

以前、この鈴鹿を攻略するポイントを可夢偉に聞いたとき、「1コーナーからS字の先まで、とにかくリズムが重要。少しでもリズムが狂うとタイムが出ない。ここでセッティングが決まると他のコーナーも決まってくる」と教えてくれた。そしてオーバーテイクポイントは、可夢偉コーナーとも別称がつけられたヘアピン。どのドライバーも「ここはオーバーテイクポイントじゃない」と断言する場所なのに、可夢偉だけはズバズバとライバルたちをオーバーテイクしてきた。だが、これも苦肉の策だったと、当時明かした。「マシンにトップスピードがなくて、普通にやっていたら抜けない。でも、コーナーでは勝っていたから、ヘアピンで抜く結果になっただけですよ。接触するリスクはありますけどね」つまりライバルたちと自分のマシンを冷静に分析して挑んだ勝負だったのだ。

今年はトップチームと互角に戦えるマシンを手にした可夢偉。普通のポイントでも抜けて、ヘアピンでも勝負できれば……。目の離せない週末となることだけは間違いない!(モータージャーナリスト・田口浩次)