全日本柔道連盟によるリオ五輪に向けての強化体制発表が、10月20日の理事会までおあずけとなっている。

9月上旬には強化委員会、専門委員長会議と選手強化に関わる会議がいくつかもたれたが、いずれもロンドン五輪での成績不振の検証や監督やコーチなどの責任を問う声は挙がらなかったという。ある強化関係者は言った。

「会議をしても意見が全然出ないし、問題点を指摘しあうこともほとんどない。いまの事態をどうにかしようという雰囲気は感じられない」

男子の篠原信一、女子の園田隆二両監督や吉村和郎強化委員長の処遇については上村春樹全柔連会長ら執行部に一任され、発表は理事会に先送りされたのだが、これは喧々囂々の話し合いの果てに上層部に結論を託したというわけではなく、むしろ議論にすらならず、決め手がなかったからという、消極的な理由なのだ。

……それ、マジですか? そう聞き返したくなるようなぬるい空気が、どうやら選手強化に携わる人たちの間を満たしているようだ。五輪にすべてをかけ挑む選手が背負う緊張感とあまりにもかけ離れている。そんな危機感が希薄な状態のまま、10月20日の鶴の一声を待つだけでいいのだろうかと思ってしまう。

こうなったら逆転の発想で、結論先延ばしとなって生まれた時間を有効に使うしかない。例えば続投を希望している篠原、園田両監督は、選挙活動とは言わないまでもその決意を行動で表してはどうだろう。

例えば若手指導者との勉強会を各地で開いたり、オープンな場での意見交換の機会を設けるのもいいかもしれない。それが難しければ、せめて新体制発表前に監督自らによる結果分析と、リオ五輪に向けての改革案を何らかの形で発表してはどうか。すでに挙がっている海外武者修行案などこれまでにやってきたようなことだけでなく、例えば外国人コーチの招聘などのアイデアをも提案し、柔道に携わる人々に問う。こうした透明性の高い態度表明は、選手や不満が続出していた選手の所属先との関係改善につなげられるし、結果として監督続投を応援する人が増えるかもしれない。

手詰まり感のあるいまの日本柔道に必要なのは、過去の慣習をひょいと飛び越えてみせるこんな自由な発想と冒険心のような気がする。(スポーツライター・佐藤温夏)