10月13日(日本時間14日)、米カリフォルニア州カーソンで歴史的な夢のカードが実現する。日本のエース、世界ボクシング評議会(WBC)スーパーバンタム級名誉チャンピオンの西岡利晃(帝拳)が、国際ボクシング連盟(IBF)世界ボクシング機構(WBO)同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)と顔を合わせる一戦は、掛け値なしの“世紀の対決"。間違いなくボクシング史を飾るスーパーファイトになるだろう。

西岡は2008年9月、悲願の世界王座を獲得した。それまで4度も世界挑戦に失敗していた苦労人だ。そして、彼が存在感を見せつけたのが09年5月、敵地メキシコでジョニー・ゴンサレス(メキシコ=現WBCフェザー級王者)を相手にした2度目の防衛戦だ。一度はダウンを喫しながら3回、目にも鮮やかな左ストレートを決め、会心のTKO勝ちを収めた。この試合で西岡の自信がグッと増したのは明らか。その後は自慢の左強打で防衛のテープを伸ばした。海外での実績も魅力だ。

昨年10月、強豪ラファエル・マルケス(メキシコ)と7度目の防衛戦を行ったが、場所が何と「聖地」とまで呼ばれるラスベガスのリングだった。日本の世界王者がラスベガスで防衛戦をするのは初めて。この試合も大きな話題を集めたが、西岡は自分のペースを忘れず、難敵を文句なしの判定に下した。大きなハードルを越え、「次はドネアしかいない。強いのは分かっているが、それだけに戦いたい」と狙いを最強王者に絞った。

交渉は難航した。4階級制覇のドネアは今や軽量級最大のスーパースター。実現までの道のりは簡単ではない。西岡は7月、カーソンに出かけ、ドネアの試合を観戦。リングに上がって対戦を要望したほど。効果は十分。ドネアは親日派でもあり、具体的な話が進み始めた。ドネア側はホルヘ・アルセ(メキシコ)とも交渉していたが、契約寸前になって白紙となり、西岡戦が正式に決まった。西岡の執念が実を結んだといえそうだ。

8月27日、ロサンゼルスで両者の記者会見が行われた。ドネアが「西岡より強いことを証明するだけ」と自信を見せれば、西岡も「強い相手だけを追い求めてきた。ワクワクしている。楽しくて仕方がない」と高揚感を隠せない。試合は西岡の左ストレートとドネアの左フックがキーポイントだ。果たして、究極の左勝負を制するのはどちらか。大方の予想はドネア有利に傾いているが、私は「全くの互角」と見ている。あの左強打が炸裂すれば…。手に汗がにじんできた。(津江章二)