日本のメダルラッシュに沸くロンドン五輪。ボクシングもその追い風に乗り、五輪で初めて同じ大会で二つのメダルを獲得する快挙を達成した。

五輪のメダルといえば、ボクシングはかなり縁遠いものだった。1960年のローマで田辺清が銅メダル(フライ級)を獲得したのに続き、64年の東京大会で桜井孝雄が金メダル(バンタム級)、68年のメキシコ大会でも森岡栄治が銅メダル(バンタム級)と3大会続けてメダルを獲得していた。しかし、72年のミュンヘン大会以来、表彰台は遠くなり、今回のメダルが実に44年ぶり。しかも、複数のメダルは初めて。低迷していたアマチュアボクシング界に大きな刺激を与えたといえそうだ。

まず、メダルを確定したのがバンタム級の清水聡(自衛隊)だ。2回戦では最初、判定負けがコールされたが、試合内容から見て、判定が覆ったのは当然だろう。もう怖いものはない。昨年のアフリカ王者との準々決勝では3回に逆転し、小差の判定をものにした。北京五輪で初戦敗退の悔しさを思い切りぶつけた結果だ。準決勝でも持ち味を発揮し、自分らしさを出すことができるか。岡山県出身の左ボクサーで、北京五輪後、一時不調に陥ったが、見事に復活。精神力は並ではない。

ミドル級の村田諒太(東洋大職)は順当に勝ち上がった。世界選手権銀メダルの実績があり、大会前から有力なメダル候補。本番でも強烈なプレッシャーに負けることなく、安定したボクシングが光り、準々決勝でも無難に判定勝ちを収めた。第2シードらしい強さを発揮しており、「目標は金メダル」と胸を張った。昨年の世界選手権の実績があり、早くから他国メディアからも注目されていた。奈良県出身で、右のボクサーファイター。パンチは重く、鋭い。重量級だけに活躍は特筆ものだ。

ここまでくると、桜井以来、48年ぶりの栄光に期待したい。東京五輪での桜井は初戦から素晴らしいテクニックを披露、決勝でも相手を全く寄せ付けず、RSC勝ちした。それから約半世紀。果たして、清水、村田の2人はどこまで快進撃を続けることができるだろうか。(津江章二)