J2は、全42節のうち、半分以上の試合を消化した。7月15日の第24節を終了した時点での成績を見ると、シーズン終盤はどうなってしまうのかと、こちらが心配してしまうほどの大混戦となっている。首位に立つジェフ千葉の勝ち点は46。6位の大分トリニータは44。その差は、わずかに2ポイント。1試合で獲得できる勝ち点3のなかに、6チームがひしめいているのだ。

今シーズンからJ2はプレーオフ制度を導入した。J1に自動昇格できるのは上位2チーム。3位から6位までのチームが、トーナメント方式で争い、最終的に勝ち残ったチームが3枚目のJ1昇格の切符を手にすることになる。このプレーオフ制度については、本来のリーグ戦の本質を損なうということで、チーム関係者の間でも「勝ち点1の価値を軽んじている」と賛否両論はある。勝ち点1の積み重ね、得失点の積み重ねによって本来は争われるリーグ戦で、3位チームと6位チームの勝ち点が10ポイント以上開いていても、6位チームがJ1に昇格する可能性があるというのは、解せない話だ。ともかく各チームが同じレギュレーションで戦っている今シーズンは、文句をいってもしょうがないが、個人的には見直したほうがいいのではないかと思う。

昨年、J1に昇格していきなりリーグ制覇を成し遂げた柏レイソルをはじめ、2009年にJ1復帰を果たした広島、2010年のセレッソ大阪。昇格1年目で大躍進を見せ、ACLに出場したチームがここ数年続いたが、今シーズンのJ2を見ていると、そのような存在になる予感を持たせるチームは、残念ながら見当たらない。

ここのところの試合展開を見ていると、首位に立ったチームが、次節であっけなく下位チームに負けて首位を明け渡す。そんな展開が続いている。J2が発足した1999年から数年間は、上位チームというのはある程度予想できた。J1から降格してきたチームは、J2の中位以下のチームと明らかに戦力差があり、下位のチームに取りこぼすということはめったになかった。しかし、現在は前節まで首位だった東京ヴェルディが、J2に加入したばかりの松本山雅に2-3で敗れた第23節の例を見るまでもなく、上位チームでも勝ちを計算できる相手を探すほうが難しくなった。

原因は戦力の平均化だろう。Jリーグの各クラブの経営状況は、どこも同じように苦しい。J1から降格したチームの場合、選手は当然トップディビジョンであるJ1でプレーしたいという希望があるわけで、他クラブからオファーがくれば、迷いなく移籍する。一方でJ1を見ると、まだ戦力として使えそうな選手でも、年齢や年俸の関係で放出される。まだ現役にこだわるベテラン選手たちが、J2の各クラブに分散されたことで、極端な戦力差というのがなくなってきているように思える。

確かにゲーム内容を見れば、J1の上位チーム同士の対戦に比べると見劣りすることは否めない。ただ、ゲーム内容が面白くないかといわれれば、そんなことはない。多少のゲーム運びのつたなさはあるものの、守から攻へと目まぐるしく入れ替わる好試合にも結構お目にかかる。スリリングなゲームもたくさんある。リーグ前半戦の最終戦となった第21節の千葉と湘南ベルマーレの試合は、まさにその典型だろう。

1-1で引き分けたこの試合。千葉・木山隆之、湘南・☆(曹の曲が由)貴裁の両監督は、試合後の記者会見で奇しくも同じコメントを残した。「勝てなかったのは残念。でもいい試合だった。勝っていてもおかしくなかったし、負けていてもおかしくなかった」。木山監督が「不思議な感じのする内容だった」と感想を述べた試合は、千葉、湘南ともに守勢に回らず、しかも運動量が落ちない、今シーズンのJ2でもトップクラスの好印象を残す一戦だった。当時、レベルの高さではワールドカップを超えるといわれる欧州選手権が行われていたが、インパクトとしては匹敵する試合だった。

コアなサポーター以外が、あまり足を運ぶことのないJ2。そのなかにもたくさんの好試合はある。しかも、今シーズンはまれに見る混戦。1試合1試合が、ガチな勝負だ。こんな面白い優勝争いを目の当たりにできる機会なんて、そうそうない。

UEFAチャンピオンズリーグを見れば、Jリーグが下手に見えるのは当たり前。でもJリーグでも十分に興奮できる。J2にもっと人々が関心を持ってくれれば、サッカーに対する理解度はさらに高まるはずだ。それが結果的に、サッカーを文化として根付かせる原動力になるのだと思う。

それにしても気になるのは、今シーズン末のプレーオフ。例えば2位チームと同勝ち点で並びながらも、得失点差で3位になったチームが、トーナメントで敗れるなんてことになったなら、確実にプレーオフ制度に対する不満が出てくるだろう。

岩崎 龍一[いわさき・りゅういち]のプロフィル

サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。5大会連続でワールドカップの取材を行っている