世界のボクシング界には現在、主要4団体が存在する。老舗の世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)に加え、国際ボクシング連盟(IBF)と世界ボクシング機構(WBO)だ。日本ボクシングコミッション(JBC)はWBA、WBC以外は認めていないが、大きな原因が「世界王座の権威維持」である。ただでさえ、正規王者以外にスーパー、シルバー、休養王者…などの名称が存在し、権威は薄まる一方。しかし、ここにきて国内のトップボクサーが相次いでIBF、WBO王座に挑戦し、波紋を投げ掛けている。

まず3月30日、元WBA、WBCミニマム級暫定王者の高山勝成が南アフリカのイーストロンドンでIBFミニマム級王者のニコシナシ・ジョイ(南アフリカ)に挑戦、0―3の判定で敗れた。高山は初回からスピードある連打で互角の打ち合いを演じ、王者を慌てさせるシーンも。ポイント的には5~7点差の開きがあったが、敵地でもあり、善戦といえるだろう。もし勝っていたら日本初の3団体制覇達成となるところだった。JBCサイドも複雑な思いで結果を待っていたのではないだろうか。

続いて5月1日、モスクワで石田順裕はWBOミドル級王者ドミトリー・ピロク(ロシア)に挑戦、0―3の判定で敗れ、王座奪取を逃した。石田はWBAスーパーウエルター級元暫定王者で、こちらは勝てば2階級制覇の達成。ミドル級王座ということもあり、大変なニュースになっていただろう。JBC未公認のため、36歳の石田は引退届を提出して挑んだが、無敗を誇る31歳の王者に屈した。石田は「負けたけど悔いはないし、いい経験になった。チャンスがあればまた闘いたい」と前向きな姿勢を示した。

これまで日本選手がWBO王座を獲得した例はなく、IBFでは1984年に新垣諭がバンタム級王者となった例がある。権威維持というのはJBCだけではなく、ファン共通の願いでもある。しかし、世界的な流れを考え、協会側には4団体を認めてもいいのでは、という意見があるのも事実だ。ここはJBC、協会とがじっくりと話し合い、結論を出してほしい。個人的には挑戦資格のハードルを高くし、世界タイトルマッチに限り、認めてもいいのではと思う。安易な世界挑戦だけは絶対に許されない。(津江章二)