2月中旬からの米女子ゴルフツアーの第2戦、ホンダLPGA(タイ)と翌週のHSBCチャンピオンズ(シンガポール)を取材した。このアジア2連戦で今季のスタートを切った日本勢の宮里藍、宮里美香、上田桃子の中で、宮里藍の戦いぶりが印象的だった。

タイでは昨季の賞金女王、曽雅☆(女ヘンに尼)(台湾)が優勝したが、同組で追いかける宮里藍の集中力には目を見張るものがあった。飛距離を武器にして果敢に攻める相手に対し、ショットの正確さで互角以上に戦った。最終日は前半こそスコアメークに苦しんだが、10番のバーディーで始まった後半は微妙な距離のパーパットを次々と決め、ひたすらチャンスを待った。いつ脱落してもおかしくないじりじりとした緊張感の中、15番、17番とバーディーを奪い逃げる曽雅☆(女ヘンに尼)に重圧をかけた。

最終18番(パー5)でも研ぎ澄まされた集中力の高さが垣間見えた場面があった。1打差でリードする曽雅☆(女ヘンに尼)が第3打をピンそばにぴたりとつけて、この時点でほぼ勝負があった。グリーンを取り囲む観衆がスーパーショットに沸き上がる中、約3メートルのバーディーパットを残していた宮里藍は、表情一つ変えなかった。まず優勝はない。その状況で「私のゲームはまだ終わってない」と自らに言い聞かせた。心の揺れを抑え、これを沈めてガッツポーズ。きっちりスコアを一つ伸ばして2位で大会を締めた。宮里藍は2年前に、タイ、シンガポールで開幕2連勝を飾っているが、タイでの激闘を「2年前に勝った時より内容が濃い2位だったと思う」と言ったのは偽らざる心境だろう。

シンガポールでは海外の記者がツアーにおけるアジア勢の隆盛について質問したことがあった。宮里藍は「ゴルフとアジア人の性格が合っているんじゃないかと感じる」と印象を語った。その意味を「ゴルフは忍耐強さが要求されるゲーム。アジア人は恐らく我慢強い人々だと思う」と説いたが、宮里藍はまさにその例だろう。

男子では昨年、ルーク・ドナルド(英国)が史上初めて米、欧州両ツアーの賞金王に輝いた。飛距離よりも小技を得意とする、宮里藍と似たタイプの選手といえる。「彼のゴルフはすごく好きです。勉強になる」。技術と精神力を武器に、宮里藍が目標とする年間最優秀選手とメジャー大会優勝を達成する日が早々に訪れても不思議はない。そう思えた2週間だった。

木村 督士(きむら・ただし)1979年生まれ。大阪府出身。05年共同通信社入社。大阪運動部を経て10年12月から本社運動部で様々な競技を担当。