今年のF1は歴史に残るシーズンになることがすでに決まっている。というのも、過去最高6人ものワールドチャンピオンが同じシーズンを戦うからである。セバスチャン・フェテル(2011、2010年)、ジェンソン・バトン(2009年)、ルイス・ハミルトン(2008年)、キミ・ライコネン(2007年)、フェルナンド・アロンソ(2006、2005年)、そしてミヒャエル・シューマッハー(2004、2003、2002、2001、2000、1995、1994年)と、過去18年間でじつに14年分の王座が揃う計算だ。

なかでもミヒャエル・シューマッハーは7度の王座で、他の5人の王座を足した数と同じ。いかに偉大であるかがおわかりいただけるだろうか? 1991年のデビュー以来、3年間の一時引退はあるものの、デビューから22年目を迎えた19度目のシーズンを迎えるのに、いまでもパドックでもっとも貪欲なドライバーのひとりだ。現王者のセバスチャン・フェテルは彼が強い方がレースは楽しいと断言する。

「ドイツ人だけじゃなく世界中のF1ファンが、強いミヒャエルと僕が戦うことを楽しみにしている。実際、今年メルセデスのマシンは速そうだ。レースは勝負だけど、ミヒャエルとサイド・バイ・サイドで戦えたら最高に嬉しいよ。ミヒャエルの才能はいまもトップレベルだからね」

今年、日本のF1業界には激震が走った。1987年から続いていたフジテレビでの地上波放送が中止となり、BSフジでの放送へと変更が発表されたからだ。もちろん、これまで同様BSフジであっても、ファンはレースを見るだろうが、やはりより多くの視聴者が見る地上波で放送されていた意味は大きい。1995年にアメリカのメジャーリーグへ挑戦した野茂英雄を見るために、多くの人が早朝のBS放送にチャンネルを合わせたように、やはりわざわざ見る価値がある人物がいなければ、BS放送にそこまで一般的な訴求力を求めるのは酷だ。では誰が野茂英雄のような存在になるのか? 日本のF1界では当然それは小林可夢偉が担うことになるだろうが、もうひとり名前を挙げるならば、それはやはりミヒャエル・シューマッハーだろう。小林可夢偉とミヒャエル・シューマッハーが表彰台を争う、そんなシーズンを期待したい。(モータージャーナリスト・田口浩次)