2月28日から3月1日の3日間、今年2回目のプレシーズン合同テストがマレーシア・セパンサーキットで行われた。今回も、2011年総合優勝のケーシー・ストーナー(レプソル・ホンダ)がトップタイム。僅差の0.175秒差でチームメイトのダニ・ペドロサが続き、今季もホンダがチャンピオンシップを優勢に進めそうな印象を与えた。

3日目の走行を終えたストーナーは「前回のテスト同様、チャタリング(コーナー進入や旋回時にフロントが細かく振動する症状)の解消に努めている。完全に解決できたわけではないけれども、前後の荷重バランスなどを見直すことでだいぶ良くなってきた」と振り返った。今回のテストではレース周回をシミュレーションするロングランを実施しなかったが、ライバル勢の様子はやはり気になるようで、「ホルヘ(・ロレンソ/ヤマハ・ファクトリー)は何周した?」と取材陣に尋ねるひと幕も。約20周ほど連続周回し、ラップタイムも高水準で安定していたことを知ると、「そうだろうね。今年もホルヘとダニは、例年どおり強力なライバルになると思う。バレンティーノ(・ロッシ/ドゥカティ)も、マシンが決まって気持ちよく乗れるようになったら、きっと本来の力を発揮するはず」と、強豪たちへの警戒を怠らない。自身が連続周回しなかったことに関しては「僕はロングランがきらいなんだよ」と笑わせたうえで、「今回はむしろ、短い周回を繰り返してマシンセットアップの方向性を見極めたかった。タイヤのパフォーマンスについてはすでに把握しているし、燃費についても心配する要素はないから」と語った。

この3日間のテストを終えると、ストーナーたちはチームのタイトルスポンサーである燃料企業レプソルYPF社が本拠を構えるスペインで、プレゼンテーションイベントを実施する。スイスに自宅を構える26歳のストーナーは、2月16日に第一子となる娘が誕生したばかり。その話題になると、「娘に長い間会っていないから、少し寂しいね。スイスに帰る日が待ち遠しいよ」と正直な気持ちを述べる。「おなかがすいたときに教えてくれるくらいで、ほとんど泣かないし手も焼かせない、とてもいい子なんだ。成長するとそんなことも言えなくなるだろうから(笑)、ずっとこのままならいいのになあ、なんて思うこともあるよ」と、この時ばかりは父親の表情になる。娘の誕生が契機になったのかどうかは不明だが、ツイッターの公式アカウントも開設し、あっという間にフォロワーが2万人を突破した。公私ともに充実し、気力も体力も満ちあふれている現在のストーナーは、ライバルたちにつけいる隙を許さない無敵状態にあるのかもしれない。(モータージャーナリスト・西村章)