2012年シーズンのスーパーバイク世界選手権(SBK)が、モトGPよりひと足早くオーストラリア・フィリップアイランドサーキットで開幕した。SBKは量産市販車を改造した車輌で競うロードレースで、プロトタイプマシンのモトGPよりも一般ユーザーに近い競技として人気を集めている。SBKとモトGPの関係は、四輪の世界でいえばGT選手権とF1のそれにたとえることができるだろう。

車輌の違い以外にも、SBKはスーパーポールと言われる予選方式や、1大会で2回の決勝が行われるレース進行、あるいはピレリが供給する公式タイヤなど、モトGPとは細かな点で競技ルールが異なる。昨年までは、日本人の芳賀紀行がこの競技のスター選手で、燃焼力の高い有機化合物をもじって“NitroNori"の愛称で多くのファンに親しまれた。芳賀は今季、BSB(英国スーパーバイク選手権)へと戦いの舞台を移し、彼と入れ替わる格好で昨年までモトGPで活躍した青山博一が唯一の日本人選手として2012年のSBKに参戦する。

ホンダワールドスーパーバイクチームに所属する青山の車輌は、CBR1000RR。マシンもタイヤもレース進行も、なにもかもが初めて尽くしの開幕戦となったが、2月25日(土)のスーパーポールは併催の国内選手権で大きなアクシデントが発生したためにキャンセル。青山は、26日(日)の第1レースを16番グリッドからスタートすることになった。

土曜までの走行を終えた段階では「ブレーキングの安定性、コーナー立ち上がりのリアグリップなどを改善したいが、良い解決策がまだ見つからない。ピレリのタイヤは、MotoGP時代のブリヂストンとは逆で、最初はいいけど後半になると厳しくなる傾向。この特性に慣れて、性能をうまく引き出すようにしたい」と、青山は苦戦気味。

気温30℃を超えるコンディションで行われた決勝は、第1レースが8位。第2レースは9位で終えた。「ウィークを通して抱えていた問題を解決できない状態でこの順位だったので、バイクのセットアップを良くしていければさらに上位を狙えると思う」と、何もかもが初体験のレースで、満足できない結果ながらもまずまずの手応えを得た様子。また、「SBKは一日2レース。しかも、このフィリップアイランドは体力を消耗するコースなので、レースをするまでは大丈夫かなとも思ったけど、走ってみると体力的な問題は全然なかった」と、ひと安心したところも見せた。

第二戦はイタリア・イモラサーキット。決勝は4月1日だ。新天地で新たな挑戦を開始した青山の戦いは、欧州に舞台を移すこのレースからいよいよ本格化する。(モータージャーナリスト・西村章)