2012年のモトGPプレシーズンテストが、恒例のマレーシア・セパンサーキットで始まった。1月31日から2月2日まで計3日間のスケジュールで、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティの各ファクトリーおよびサテライトチーム12名に加え、今年から新たに加わる規格のCRT(Claiming Rule Teams:クレーミングルールチーム、オリジナルフレームに量産車改造エンジンを搭載したマシンで参戦するチーム)でエントリーする3選手も加わり、さらに、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティからはテストライダーも走行している。ちなみに、様々な事情から今回のマレーシアへ参加しなかったCRT勢は、1月30、31の両日に、スペイン・バレンシアでプライベートテストを実施した。

今回はルール変更の節目となるシーズンの初テストだけあって、話題には事欠かない。ホンダファクトリーのレプソル・ホンダ・チームは、テスト前日の30日夕刻にサーキット近郊のホテルで2011年チャンピオンのケーシー・ストーナーとダニ・ペドロサ、およびチーム代表の中本修平が記者会見を行った。両選手の初日のパフォーマンスにも注目が集まったが、ストーナーは31日朝のストレッチで古傷の背中に痛みが走ったために初日は大事を取って走行を見合わせ、2日目以降に期待をつないだ。

ヤマハは、日本の石油企業エネオスことJX日鉱日石エネルギー株式会社とスポンサー契約を締結したと発表した。その文言によると、この契約はあくまで「公式」スポンサーであり、「タイトル」スポンサーとはヤマハ側は言っていないが、いずれにせよ、チーム広報の話では、マシンやウェアの正式なデザインはおそらく3月に行われる最終テストの際に発表する運びになるだろう、ということだ。また、昨年の終盤戦の練習走行中に転倒して左手薬指を損傷し、以後ずっと休養をとっていたホルヘ・ロレンソが、ようやく数ヶぶりにサーキットを走行したことも大きな注目を集めた。

一方、ドゥカティは今回のテストが今年仕様のマシン、デスモセディチGP12の事実上初走行になる。昨年はさんざんな一年に終わったスーパースター、バレンティーノ・ロッシの復活がかかっているだけに、今回のテストには特に大きな注目が集まり、最初のコースイン時には、わざわざテストを見物に訪れた観客席のファンたちの間からも拍手が起こった。

1月31日のトップタイムは、ヤマハのロレンソ。ホンダのペドロサが僅差で続き、ニューマシンで挑んだロッシはロレンソから0.735秒差の5番手タイム。「加速に課題はあるが、ブレーキングから旋回までが劇的に改善され、昨年のことを思うと奇跡のよう」と笑顔で好感触を述べた。一方のCRT勢は、初日を終えた段階でプロトタイプマシン勢の最後尾と6.583秒差。埋めるべき溝は非常に大きいことがいっそう浮き彫りになった。冬期テストの、しかも初日の結果だけでシーズンの行方を類推するのはあまりに拙速だが、どうやら今年は見どころの多い戦いになりそうだ。(モータージャーナリスト・西村章)