ラグビーの第48回全国大学選手権の決勝が1月8日に行われ、帝京大が天理大を下して史上2度目の3連覇を成し遂げた。卒業と入学が毎年繰り返される学生スポーツは連覇が難しく、3年連続のラグビー大学日本一はこれまで80年代に同志社大が達成した一度しかなかった。だが東京・国立競技場には観客が1万4407人しか入らず、快挙達成の瞬間を目の当たりにできるという晴れの舞台にしては盛り上がらなかった。

帝京大のラグビーは、チームに肩入れせずプレーを楽しもうとする観客には面白みが薄いのではないか。200センチ近い2人の外国人留学生を中心にFWが塊となって押すモール攻撃が武器で、じりじりと進むためスピード感に欠ける。同じようなFW戦を繰り返して試合が単調になる。パスで相手を抜くスリルもない。

しかし、この戦い方はボールをキープするため確実性が高く、勝負にこだわるチームには向いている。帝京大の岩出雅之監督は「見せる必要のあるプロと違い、アマチュアなのだから一生懸命やっているところを評価してほしい」と訴える。一方、他大学やラグビー協会の関係者、ファンの間には反発もあり「帝京はラグビーを破壊して人気を下げている」「あんなに大勢の選手を採っているのに、あんな程度のプレーしかできないのか」などと嫌悪感をあらわにする向きもある。

面白さを度外視して勝てる戦術に徹したチームは、国際舞台でも存在した。1991年のワールドカップ(W杯)で、地元イングランドはキック主体に試合を展開し勝ち進んだ。ところが「蹴ってばかりで、試合がスポイルされる」と猛烈な批判を浴び、決勝ではバックス展開にスタイルを一変。大一番で賭けに出たイングランドはオーストラリアに敗れ、エリザベス女王から優勝カップ、エリス杯を受け取ることはできなかった。

美しく勝つのは難しい。美しさを捨てて勝つのは非難されるべきことなのか。日本代表監督を務めた経験もある日比野弘・早大名誉教授は「ルールの中でいかに勝つか考え、実行するのは当然のこと。悪いのはルールだ」と指摘する。さらに、見て面白い試合を増やして人気を回復する目的でルール変更を提案。「スクラムと同様のルールにして、ボールが出るまでFW同士は離れてはいけないと決めれば、FW戦は繰り返せない」と私案を説明する。

歴史的に、トライを増やして面白い試合を増やすためにルール変更を繰り返してきたラグビー界。国内特別ルールを制定すべしとの意見は、日本協会にもくすぶっている。

伊藤 光一(いとう・こういち)1972年生まれ。神奈川県鎌倉市出身。社会部で世田谷一家4人殺害事件、大阪社会部で大阪教育大付属池田小での校内児童殺傷事件などを取材。2009年から東京運動部でラグビー、12年1月からプロ野球を担当。