二輪ロードレースの最高峰モトGPのタイヤ供給が、ブリヂストン1社のみによるワンメーク状態になって今年で4年目を迎える。2008年まではミシュランとの間で<タイヤ戦争>とも形容される熾烈な開発競争が続いたが、その戦いに敗れたミシュランがグランプリの舞台を去り、ブリヂストンは2009年から2011年までの3年契約で公式サプライヤーとしてタイヤを供給することになった。全チーム全選手に公平なタイヤが行き渡るよう、オープンかつ平等な供給システムを構築し、安全性に最大の配慮を払いながら競争力の高いタイヤを提供してきた。

ワンメーク開始以降のこの3年間では「各メーカーのマシン制御技術が進歩し、タイヤ(の摩耗)に対して優しくなってきた結果、選手たちの要求も少しずつ変化してきた。特に3年目の去年は、グリップ耐久性よりも初期周回の温まりをさらに良好にしてほしいという傾向になり、その対応に集中するシーズンでした」と、同社モーターサイクルレーシングマネージャーの山田宏は説明する。

ブリヂストンは公式タイヤサプライヤー契約を昨春に更改し、2012年からの3年間もモトGPは引き続き同社によるワンメークとなることが決定した。新たな節目の今年はルール変更に伴い、マシン排気量は昨年までの800CCから上限1000CCへと引き上げられた。「昨年春からホンダ、ヤマハ、ドゥカティは新ルールに準拠したマシンによるテストを開始しており、それに伴ってタイヤ開発も実施してきました。排気量が上昇しても燃料タンク容量は従来と同じで、極端なほどのパワー上昇は見られないだろうと予測しており、タイヤ特性は従来の延長線上で開発を継続しています」

また、今年はCRT(Claiming Rule Team:クレーミングルールチーム)と呼ばれる量産車エンジンをベースにした新たな規格のマシンも戦列に加わる。テストなどでの仕上がり具合を見る限り、現状ではホンダ、ヤマハ、ドゥカティの製作するプロトタイプマシンと比べて明らかに戦闘力が劣っているが、プロトタイプ勢とCRT勢で供給タイヤの品質等に差をつけて戦闘力の差を埋め合わせるようなことは特に考えていないという。「CRT勢はまだ実車走行が少なく現状では未知数の部分も多いのですが、プロト勢と同じタイヤでは安全性が確保されない、というような問題はおそらく生じないだろうと思います」

ところで、昨今のユーロ不安はレース界も直撃しているが、活動継続に奮闘する関係者の努力には感心する、とも山田は話す。「景気が悪化すると消費が冷え込むのは全体に共通した問題で、スポンサー獲得や継続が厳しくなっているにもかかわらず、なんとかやりくりしていく人が多い。ひとことでいうと、やはりモトGPは文化として根付き、ステータスもあるからだと思います」(モータージャーナリスト・西村章)