史上最年少入賞記録、史上最年少ポールポジション記録、史上最年少表彰台記録、史上最年少優勝記録、そして史上最年少ワールドチャンピオン記録、と数々の記録を塗り替えている現代F1における最速ドライバー。それが2010年、11年の2年連続ワールドチャンピオンを獲得したセバスチャン・フェテルだ。

1987年7月3日ドイツ生まれの24歳。2007年のF1第7戦アメリカGPで、ケガのため出場できなかったロバート・クビサに代わりBMWザウバーから初出場。レースで8位入賞となり、その注目度は一気に高まった。顔の雰囲気がフェテル自身も尊敬するミヒャエル・シューマッハーに似ていることから、当時は「ベイビー・シューミー」などとメディアに呼ばれていた。このレースをきっかけに、第8戦フランスGPからはトロロッソのシートを獲得し、2008年にはトロロッソで初優勝、そして2009年からは現在も在籍するレッドブル・レーシングに移籍した。

経歴を書いていくと、まるでスーパースターの栄光を見るようだが、フェテルが飛躍できたのは大事な一番での勝負強さが大きいと、2006年当時にユーロF3でチームメートだった小林可夢偉が教えてくれた。

「フェテルは速いです。でもF1まで行くドライバーは全員速い。当時のフェテルは速いけどミスも多かった。だけど、BMWの重鎮が見学に来ていたレースなど、ここ一番で最高の走りを見せた。あの勝負強さを例えるなら、自分で運を引っ張り込むタイプでしたね」

いまやもっとも有名なF1ドライバーへと成長したフェテルだが、その内面はデビュー以前から変わらない。運転が大好きで、ミヒャエル・シューマッハーに憧れ、音楽が大好きで、ビートルズフリーク。そしてファンを大事にする。

2008年の日本GP直前、レッドブルのイベントでカート大会が東京で開催された時、イベントを終えてスタッフ共々現場を離れなくてはいけなかったが、フェテルは残ったファンへ御礼がしたいとサインを延々と書き続け、レッドブルスタッフがもう終了とファンに告げると、「まだ終わってないよ」と逆にレッドブルスタッフをたしなめてサインを継続した。

「母国ファンは特別だけど、日本のファンは最高なんだ!」と公言するフェテル。2012年は3年連続チャンピオンを目指す。(モータージャーナリスト・田口浩次)