格闘技とプロレスのジョイント興行となった大みそかのさいたまスーパーアリーナ大会。可動式の同アリーナの最も小さなスペースでの大会だったとはいえ、天井近くまで客が入っており、近来まれに見る観客動員で、2012年へ向けて多少なりとも上昇ムードを感じさせてくれた大会だった。

似て非なる両ジャンルが融合するものかどうかという焦点もあった。開けてみると、プロレスが始まると格闘技ファンがロビーへ出て休息するような光景も見られたが、全体としては、提供された試合を「せっかく来たのだから、楽しもう」という雰囲気が強かったように感じた。

今の格闘技ファンはプロレスに対するアレルギーをもたず、ひとつのジャンルとして認めているということなのだろう。もっとも、最近まであった「ハッスル」のように、演劇とさえ思われるようなプロレスだったなら、こうした反応にはならなかったと思う。

プロレスのすごさを感じさせてくれた一人がジョシュ・バーネットだ。ヘビー級の肉体から繰り出す技は、ひとつひとつから十分な威力を感じさせてくれた。試合後のマイクで「(日本語で)プロレスをなめるなよ!」と叫んだ言葉は、久しく感じることのなかったプロレスラーのすごみだった。

プロレスとは、こうでなければならない。昔のプロレスラー、ルー・テーズやダニー・ホッジは言うに及ばず、1970年代のプロレスのチャンピオンには「勝負を競う純粋なスポーツではないけれど、道場で試合をやらせたなら(いわゆるセメント試合)、どの格闘家にも負けない。だれでも挑戦して来い」という強さがあった。

日本でも、藤原嘉明、星野勘太郎、佐山聡など武勇伝を持つ選手は数知れない。アントニオ猪木もセメントの強さはあり、何よりも現役のプロボクシング世界ヘビー級王者と真剣勝負をしたことが、現在までも名声が伝わっている要因のひとつだと思う。

プロレスラーは、まず強さを求めてほしい。格闘技ファンをも黙らせる強さを身につけることこそ、プロレス復興の第一歩だと思う。(格闘技ライター・樋口郁夫)