アジア、オセアニアのプロ野球リーグ優勝チームで争うアジア・シリーズが11月下旬、台湾で開催された。3年ぶりに開かれた大会には、日本シリーズ覇者のソフトバンク、韓国のサムスン、台湾の統一のほか、不参加の中国に代わって初出場のオーストラリアからパースが参戦した。地元の台湾戦ではスタンドが満員で埋まるなど盛り上がりをみせた。ソフトバンクは決勝でサムスンに屈して日本勢の5連覇を逃したものの、台湾の熱意があってアジアの野球振興の動きが復活したといえる。

アジア・シリーズはプロ野球を統括する日本野球機構(NPB)が主催する形で2005年に第1回を開いた。しかし2008年の第4回は冠スポンサーが撤退し、2億円を超える赤字に陥った。大会はこれを最後に休止に追い込まれた。翌年、大会誘致に名乗りを上げたのが台湾プロ野球の中華職棒大連盟(CPBL)だった。

野球人気の低下を危ぶんでの行動だった。08年大会が開幕する2日前のことだ。中信という球団が解散することが決まり、それ以前にも八百長疑惑で解散した球団があったため、6チームで争ったリーグが09年から4チームでの運営を強いられる事態になった。それに輪を掛けてアジア・シリーズの休止。台湾球界のダメージは計り知れなかった。

09年は各国・地域の事情が絡み合って日程調整が付かず断念したが、CPBLは代替大会として台湾と韓国のシリーズ覇者同士が対戦するクラブチャンピオンシップを催し、ことしの「本番」に備える念の入れかた。台湾政府からの資金援助も得て、念願の大会実現にこぎ着けた。

NPB主催のアジア・シリーズが休止して以降、日本では再開に向けた協議で一部球団から「国際大会よりも、球団の収入源であるセ、パのリーグ戦を充実させる方策を考える方が先ではないか」との意見や、公式戦144試合からクライマックスシリーズ、日本シリーズと続く過密日程などを理由として「もう廃止してもいいのではないか」という声が漏れるようになり、一時は再開不可能との見方もあった。

しかしCPBLの熱意に加え、3月11日に東日本を襲った大震災の直後から、CPBLの選手たちが球場で募金活動を率先して行い、台湾全体でも120億円を超える義援金が集まった。台湾の善意に応える意味でも、12球団から不参加や廃止を唱える意見はなくなった。

来年は韓国が開催の意向を持つ。自国から2チームが出場し、日本、台湾、オーストラリアに加え、今回不参加だった中国を加えた6チームで行う構想もあるという。

これまでも日本シリーズに偵察部隊を送り込んだ韓国や台湾に比べ、日本のチームがこの大会にかける意気込みは強くなく、主力選手が参加しない状況が見受けられた。今回ソフトバンクが優勝できなかった一因でもある。休止させることなく、歴史を刻んでいくことで大会に“重み"が備われば、このような姿勢は改められるかもしれない。

倉見 徹(くらみ・とおる)1970年生まれ。石川県珠洲市出身。共同通信で96年からプロ野球を取材。近鉄、阪神、ダイエー、ロッテ、西武、巨人を担当。現在は球界全体をカバー