「うれしい」。およそ3カ月半ぶりのポイント獲得に、ザウバー・フェラーリの小林可夢偉は素直に喜びを表現した。

13日にアラブ首長国連邦のアブダビで決勝を行った自動車のF1シリーズ、第18戦アブダビ・グランプリ(GP)で、小林は10位に入り、第10戦ドイツGP以来、8戦ぶりとなるポイントを獲得した。

予選は16番手。なかなか温まらないタイヤに苦しみ、タイムを伸ばすことができなかった。予選終了後、小林は「決勝に向けて、いい感触をつかんでいる」と前を向いていたものの、この問題はシーズンを通じて悩まされているだけに、決勝でも苦戦が予想された。

レースでは、スタート直後にいきなり五つも順位を上げる。上位進出を期待させたが、その後は順位を下げ、5周目には早くもタイヤを交換。最後方の23位でコースに戻った時は「今回も厳しいレースになるなあ」と、見ている私も思わずため息がもれた。

ところが、ここから小林が快走を見せる。周囲より1周あたり約1秒速いタイムをマークし続け、先行するマシンを次々と面白いように抜き去っていく。結果、レース中盤には10位までジャンプアップ。その後、2度目のタイヤ交換で順位を落としたが、好タイムを維持し、10位でチェッカーフラッグを受けた。

レース結果について、小林はほっとしたように「とても長い間ポイントを取れなかったので、それを終わらせることが大切だった。いいレースができた」と話した。

8位でゴールも規定違反で失格した開幕戦オーストラリアGPを含め、7戦連続で10位以内でフィニッシュするなど好調だった前半戦から一転して、後半戦は思うように結果を出せずにもがいた小林。予選やレースの後に出されるコメントにも、小林らしからぬ弱気な表現が目立った。

しかし、今回のポイント獲得で気持ちを持ち直せたのだろう。自身のホームページでも「満足というよりもなんとか仕事ができてよかったという思いが強い。ホっとしている場合ではない」と記すなど"らしい"言い回しが戻ってきた。

シーズンはブラジルGPの残り1戦。フル参戦3年目となる来季につながる走りを披露してくれることに期待したい。(榎並秀嗣)