サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」が来年のロンドン五輪出場を懸けたアジア最終予選(中国・済南)を戦っている。女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で初優勝し、団体で史上初となる国民栄誉賞を受賞。今や、なでしこジャパンの動向は日本中の関心事ともいえるが、五輪を目指す男子のU―22(22歳以下)日本代表も今月21日から最終予選に臨む。

8月29~31日に佐賀県鳥栖市内などで行われた合宿でのこと。U―22日本代表の守備のリーダー、センターバックの鈴木大輔(新潟)は「注目度は、なでしこの方があると思う。自分たちも負けられない」と言葉に力を込めた。

昨年11月の広州アジア大会では、当時U―21(21歳以下)として臨んだ男子も、なでしこジャパンも史上初の金メダルを獲得した。同じ舞台で奮闘したなでしこは、今夏の女子W杯を初制覇して周囲からの期待度が急上昇。男子にも大きな刺激を与えている。

男子は最終予選C組でマレーシア、バーレーン、シリアとホームアンドアウェー方式の2回戦総当たりで争う。同組1位になれば5大会連続9度目の五輪出場権を得る。集中開催で切符を争う女子の予選とは異なり、来年3月までの長丁場の戦いが待ち受ける。

バーレーンは一度も五輪に出場したことがなく、マレーシアは1972年ミュンヘン五輪、シリアも80年モスクワ五輪にそれぞれ一度出場しただけ。現在の実力、これまでの実績からすれば、日本にとっては恵まれた組み合わせといえるだろう。ただ、関塚隆監督は「1位通過を考えたら、どれも大事な戦い」と気持ちを引き締める。クウェートとの2次予選ではアウェーで1―2と敗れ、ホームとの2試合合計で4―3とし、際どく最終予選に進んだだけに、気の緩みは一切ない。

アジアに与えられた五輪出場枠は前回大会より「0・5」枠増の「3・5」だ。万が一、C組1位になれなくても五輪への道は閉ざされない。A~Cの各組2位の3チームが総当たりのプレーオフを行い、勝者がアフリカとの大陸間プレーオフに回る。

日本は21日の最終予選初戦で、マレーシアをベストアメニティスタジアム(佐賀県鳥栖市)に迎え撃つ。その予行演習となった鳥栖での合宿中、チームは地元の小中学生との交流の場を持った。チームを代表してあいさつしたエースFW永井謙佑(名古屋)は子どもたちを前に、有名なキング牧師の演説を引用しながらこう宣言した。

「僕には夢があります。そうです。ロンドン五輪出場です」―。夢を実現するための戦いが、間もなく幕を開ける。

土屋 健太郎(つちや・けんたろう)1979年生まれ。千葉県旭市出身。2002年に共同通信入社、12月から福岡支社でソフトバンクなどを担当。07年1月から東京本社でサッカー、大相撲、バレー、バスケットボールなどを担当。