短いサマーブレイクを終え、2011年のモトGP後半戦が第11戦チェコGPから再開した。チェコ共和国第二の都市ブルノ郊外のマサリクサーキットで8月14日に行われた決勝レースでは、ホンダ勢が表彰台を独占する快挙を達成した。

優勝は、序盤周回で一気に後続を引き離して独走態勢を築いたケーシー・ストーナー(レプソル・ホンダ/オーストラリア)。2位はチームメイトのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(イタリア)。3位には、一発の速さをたびたび見せていたものの、なかなか結果に結びつけることのできなかったモトGP2年目のマルコ・シモンチェッリ(サン・カルロ・ホンダ・グレッシーニ/イタリア)が、ようやく初表彰台を獲得。この1-2-3フィニッシュにより、ホンダは2006年アメリカGP以来88戦ぶりとなる独占劇を実現した。

HRCチーム代表中本修平は、開幕前から「今季は表彰台独占を目指したい。簡単に達成できないことは百も承知だが、だからこそ目標として掲げる価値がある」と常々話していた。今回の目標達成に対しては、素直にうれしい、と喜びをあらわしながらも、「ライバル陣営が強力なので、このような結果が続くとは考えていない。最大の目標はあくまでチャンピオン奪還。今後も取りこぼしのないように全力で戦ってゆきたい」と、さらに気持ちを引き締める。

そのチャンピオン奪還に向けてひた走るストーナーは、これが今季6勝目。転倒リタイアを喫した第2戦スペインGP以外の全戦で、表彰台を獲得する高水準の走りを続けている。現在ランキング2番手の2010年世界王者ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー)が今回のレースを4位で終えたことにより、チャンピオンシップポイントは32点差に広がった。だが、この点差に対してもストーナーは「まだまだ油断できない」と話す。「シーズン序盤も終盤も、一年の戦いでは重要な転換点になり得る。まだ全18戦の半ばを過ぎたところにすぎないのだから、今日の勝利でチャンピオン争いが自分に有利に傾いたとはいえないと思う」と慎重な姿勢を崩そうとしない。

だが、謙虚にも思える中本やストーナーの言葉は、貪欲に勝利を目指し続ける今年のホンダの飽くなき執念を、かえって強く印象づける。そして、そんな姿勢が、容赦のないほど強かった時代の彼らを彷彿させる。それくらいに、今年のホンダは強く、そしてしぶとい。(モータージャーナリスト・西村章)