ボクシングのWBCミニマム級チャンピオン、井岡一翔(井岡)が8月10日、後楽園ホールで初防衛戦に臨む。相手は同級1位のフアン・エルナンデス(メキシコ)で、18勝(13KO)1敗の強打を誇る実力者。この難敵をどうさばくのか。天才の名をほしいままにする男のテクニックが注目される。

井岡は高校時代から抜群の才能を評価されてきた。興国高校(大阪)で史上3人目の高校6冠を達成。東農大に進学後は五輪代表を目指したが、この切符はあと一歩のところで逃した。大学を中退し、プロ転向を決意。2009年4月、3回TKO勝ちで幸先の良いデビューを飾った。その後は順調に成長。10年10月、日本ライトフライ級王座を獲得、今年2月11日、一階級下げ、WBCミニマム級王座に挑み、左ボディーで5回TKO勝ちし、一気に頂点に駆け上った。デビュー7戦目での王座獲得は日本人としての最短記録。新たな歴史を刻んだ一戦となった。

世界王者になり、周囲の見る目は一変した。しかし、本人は冷静に対応している。5月には和歌山県白浜町での合宿を公開したが、ランニング等で体力強化に努めた。初防衛戦ではプロ入りして初めて聖地に踏み込む。試合に向け、モチベーションはかなり上がってきたようだ。ボクシングでは昔から「タイトルは奪うより守る方が難しい」といわれてきた。しかし、その重圧にたいしても「全くない」と平常心を保っている。そして、「KOで皆さんの期待に応えたい」と頼もしい言葉まで飛び出した。デビュー以来、7勝(5KO)と負けを知らず、勢いに乗っている。KO宣言を実現できるか。

挑戦者のエルナンデスはメキシコのホープだ。5年前にKO負けを喫しているが、その後は11連勝を続けている。右のボクサーファイターで、この階級では破格のKO率だ。一打で仕留めるパワーには要注意だろう。足を使って機をうかがい、チャンス時には連打をたたき込む。これがエルナンデスの勝利のパターンだ。

試合は初回からハイレベルの攻防が予想される。ともに左ジャブを放ちながら、激しいペース争いは必至。中盤からKOのスリルに満ちた打撃戦になるのではないか。ポンイトになるのが井岡得意の左フックだ。これがカウンターで決まればKOが自然に近づく。果たして、相手のパンチ力を警戒しながら必殺ブローをたたき込めるか。井岡の才能が問われる闘いでもある。(津江章二)