サッカーの欧州各リーグの開幕を控え、香川真司(ドルトムント=ドイツ)長友佑都(インテル・ミラノ=イタリア)長谷部誠(ウォルフスブルク=ドイツ)ら海外でプレーする選手たちがつかの間の日本でのオフを終え、続々と各地へ出発した。

昨季は、香川のドイツ1部リーグ前半戦だけで8ゴールを奪う活躍に始まり、長友のチェゼーナからインテルへの移籍。さらには長友、内田篤人(シャルケ=ドイツ)の欧州チャンピオンズリーグ準々決勝での直接対決など、日本選手が大舞台で躍動した。新しいシーズンで彼らがどんなプレーを見せてくれるのか、今から楽しみだ。

6月中旬、日本を離れる前の香川にインタビューをする機会があった。移籍1年目の昨季は前半戦の活躍後、1月のアジア・カップでは右足小指骨折と天国と地獄を見た22歳。直接話を聞いていると、その飽くなき向上心がひしひしと伝わってきた。

約1時間のインタビューの中で、香川が最も表情を生き生きとさせたのが、ドルトムントからレアル・マドリード(スペイン)へ移籍したシャヒンの話になったときだ。

「もちろん、うらやましい気持ちはある。レアルは世界的なチームですから。でも、そのチームに自分たちの仲間が行ったということはチャンスだと思う」

昔からバルセロナ(スペイン)へのあこがれを隠さない香川。欧州への扉を開いてくれたドルトムントへの愛着を示しながらも、同い年の同僚のステップアップを目の当たりにし、「若い僕らに刺激を与えてくれた」と目を輝かせた。

昨年、日本代表が16強入りしたワールドカップ(W杯)南アフリカ大会後に一気に増えた日本選手の海外移籍は、この夏もとどまる気配がなかった。中でも注目を集めたのが、6月のキリンカップで初代表入りした19歳、宇佐美貴史(G大阪)の強豪バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)への移籍だろう。

宇佐美が狙う攻撃的なポジションにはオランダ代表ロッベン、フランス代表リベリ、ドイツ代表ミュラーとそうそうたる面々がいる。だが、宇佐美は「向上心を持って成長し、ポジションを奪えるくらいの力をつけたい」と臆することなく話し、さらに「バロンドール(年間最優秀選手)という目標がある」と言い切った。

香川にしても宇佐美にしても、若い選手は海外移籍そのものが夢や最終目標ではない。そこで自らの力を示すことができると信じ、視線はさらなる高みをにらんでいる。もちろん、欧州5シーズン目を迎える27歳の長谷部も負けてはいない。ドイツへ出発する際には「年長者として、若い選手には負けられない」とプライドをにじませる言葉を残し、旅立った。

サッカーの本場欧州で切磋琢磨する選手たちが、ザッケローニ監督率いる日本代表にその力を還元し、チームを一段上のレベルに引き上げていくことだろう。

山本 地平(やまもと・じへい)1973年生まれ。横浜市出身。2008年3月、他社の運動部記者から共同通信社に転身。大阪支社で遊軍をした後、09年5月から東京運動部でサッカーを担当