K-1の先行きが不透明な中、K-1創始者の石井和義氏が新K-1の立ち上げを宣言した。来年にも世界数十カ国での予選を経て新K-1グランプリを開催。イベントではなく、あくまでも競技としての世界大会をつくって発展を目指すという。

現在のK-1を復活させるのではなく、全く新しい組織としてスタートするのだという。その方がすべてにおいてやりやすいのだろう。世界の格闘技界に対する顔があるのは大きな武器だ。ただ、K-1の名がつく以上、現在のK-1が分裂したと見なされるだろうし、どこから大会開催の資金を捻出するのかなど、突っ込みたくなる部分はある。

それであっても、数年前の格闘技ブームの立役者の復活には少なからず期待したい(そう思うこと自体、現在の格闘技界に期待する要素がないのかもしれないが…)。格闘技のステータスが上がったのは、石井氏の手腕が大きいのは言うまでもない。後楽園ホールで極めてマニアックな観客の中で行われていた「キックボクシング」をゴールデンタイムの茶の間に流し、東京ドームでも興行を開催した。

K-1の発展は総合格闘技の発展にもつながり、合同で国立競技場大会も開催した。石井氏の格闘技界に対する功績を挙げれば切りはない。

興行に走りすぎたため正しい方向に発展せず、それが今の沈滞につながっているのだと思う。自身は脱税という罪を犯してしまった。それらの反省を生かし、今度は競技としての格闘技をつくりあげてくれるのではないかと思う。

「電力の鬼」といわれた松永安左エ門氏は「闘病、投獄、浪人経験のない者はいざというとき役に立たない」と言った。お先真っ暗な境遇を経験し、それを乗り越えて社会に役立ちたいと思う人の精神力は半端ではない。

石井氏は出所後のインタビューで「銀座や六本木へ飲みに行くこともなくなった。高級クラブみたいなところで金を使うのは、バカな奴か悪い奴。私も以前は、そのバカな奴の一人だった」と答えている。純粋に格闘技の発展に打ち込み、今度こそ本物のブームをつくってほしい。(格闘技ライター・樋口郁夫)