つかんだチャンスを逃さず、伝統のモナコで自己最高の5位。5月29日に行われた自動車のF1シリーズ第6戦、モナコ・グランプリ(GP)で小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)が5位でゴールし、これまで2度あった自己最高の6位を更新した。

中盤の事故で今季初めてセーフティーカーが導入されたことで流れが変わった。12番手スタートから徐々に順位を上げていた可夢偉はここでタイヤ交換を済ませた。5位まで順位を上げ、アードリアン・スーティル(フォースインディア・メルセデス)もオーバーテークして4位に。前にいるのは、トップのセバスチャン・フェテル(ドイツ、レッドブル・ルノー)フェルナンド・アロンソ(スペイン、フェラーリ)ジェンソン・バトン(英国、マクラーレン・メルセデス)のワールドチャンピオン3人だけとなった。

上位3人は、タイヤ交換複数回のアロンソ、バトンが、交換1回のフェテルを追い詰めるバトル。テレビ中継を見ていて「モナコは市街地コースで追い抜きが難しい。上位3人が接触して全員リタイアしたら可夢偉が優勝するのではないか」とまで思い始めた。

しかし、残り10周を切ってから、今度は可夢偉にとっては不運な展開となる。再び事故が起こり、2度目のセーフティーカー導入。そして、レースは中断された。

再開後、昨年のモナコを制したマーク・ウェバー(オーストラリア、レッドブル・ルノー)に抜かれてゴール。「中断がなければ4位になれた」と振り返ったが、モナコで5位という結果に表情は緩みっぱなしだった。8位でゴールしながらレース後に失格となった今季開幕戦も含めると、これで10戦連続で最後まで走りきっている。そのうち、開幕戦以外の8レースが10位以内で入賞し、自己最高を最も華やかな舞台で記録した。はやりの言葉で言えば、可夢偉は間違いなく「持っている男」である。(榎本一生)