小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)が胸のすくような快走を見せた。

8日に決勝を行った自動車のF1シリーズ第4戦のトルコ・グランプリ(GP)。最後列の24番グリッドから猛追し、10位入賞を果たしたのだ。これで、3戦連続のポイント獲得。フル参戦2年目、24歳の若武者は、自動車レース最高峰の舞台で確実にその存在感を増している。

7日の予選は不運に見舞われた。予選1回目の走行中に給油システムのトラブルが起き、エンジンが突然停止。1周も走らないまま、終わってしまった。結果、タイム計測はできず、決勝に進めない恐れもあったが、運営責任者の裁定で出場できることに。自身ワーストの24番手スタートに、小林は「この不運を受け入れて、決勝はいいレースにしたい」としながらも、「追い抜きは好きだけど、ポイントを取るには多くのマシンがありすぎる」とぼやいた。

ところが、ここから逆襲できるのが、今季の小林。決勝では、図らずも温存できた新品タイヤをうまく利用した。スタート直後に18位へジャンプアップすると、他車との接触でタイヤをパンクさせながらも踏ん張り、通算11勝のフェリペ・マッサ(ブラジル、フェラーリ)や“皇帝"ミヒャエル・シューマッハー(ドイツ、メルセデス)を従えてゴールした。1台が決勝に出場しなかったため、13台を抜き去ったことになる。

入賞が厳しい状況からの見事な巻き返しに、チームオーナーのペーター・ザウバーは「数えきれないほど多くのドライバーを抜いた。素晴らしい」と称賛。小林も「とても楽しかった」と声を弾ませた。

昨シーズンは、開幕から4戦連続でリタイアするなど、苦しんでいた。それを考えれば、今季の小林が置かれている状況は雲泥の差がある。しかし、「タイヤがパンクしなければ、7位には入れた」と満足した様子はみじんも見られない。

この貪欲さが、小林、最大の魅力。昨季は第7戦だったトルコGPでシーズン初ポイントを獲得して、その後の躍進につなげた。今シーズンは速さと安定感をより高い次元で両立させているだけに、今後の走りに大注目だ。(榎並秀嗣)