K-1で「コスプレファイター」として活躍していた長島☆自演乙☆雄一郎が5月5日、プロレスのリングに上がることになった。K-1も大みそかに挑戦した総合も、次はいつ開催されるか分からない状況であるがゆえの転向かと思っていたら、アントニオ猪木の引退試合に感動して闘いの道に足を踏み入れたプロレス・ファンだという。プロレス界に新たな風を吹き起こそうとして張り切っている。

3月6日のZERO-ONE両国大会ではリング上からファンにあいさつ。その会場には行っていなかったが、伝わってきたところによると、かなりの声援があったそうだ。自演乙も「プロレスをなめるな、という声が上がると思ったけど、それはなかった」とコメントしており、プロレス界はK-1ファイターの転向を好意的に受け止めているようだ。

K-1や総合格闘技がスタートし、高田延彦がヒクソン・グレイシーに負けたあたりから、格闘技ファンとプロレス・ファンとは、水と油のように反目してきた。格闘技側は、プロレスラーを破り、プロレスラーを生贄にしてその存在を確立させた。

プロレス側からすれば、格闘技は自分達の居所を狭くした「憎き相手」。プロレスラーの中邑真輔がアレクセイ・イグナショフを破るなどすれば、涙を流さんばかりに喜んだ。筆者は某夕刊紙で格闘技の記事を中心にして書いていたが、ちょっとでもプロレスを批判する記事を書くと、それが発展を望むがゆえの批判であっても、「おまえに書かれたくない」といった抗議が来たものだ。

時間が両者の確執を氷解させてくれたのか。格闘技が衰退した現在、格闘技からプロレスへの「移住」は増えることが予想される。かつての「憎き相手」であっても、快く受け入れる姿勢は、アントニオ猪木のそれに似ている。プロレス界って心が広いんだな。

猪木が提唱していたストロング・スタイルとは全く違う方向へ進んでいるけれど、プロレスは不滅の存在であることを感じた。自演乙には精いっぱい頑張ってほしい。(格闘技ライター・樋口郁夫)