オリンピック入りを目指しながら、その道が遠い格闘競技のため、日本レスリング協会の福田富昭会長が音頭を取って同協会の傘下に日本格闘競技連盟を発足させたのが2009年10月。日本オリンピック委員会(JOC)とつながったことにより、グラップリングやキックボクシング選手の、アジア室内競技大会などの総合大会出場への道が開けた。

国際レスリング連盟(FILA)もグラップリング、パンクラチオン、などをレスリングのスタイルとして認定し、五輪種目にすべく努力をしている。

いま、英国で同じような動きが起きている。英国レスリング協会は昨年12月、グラップリング、柔術、サンボ、キックボクシング、総合格闘技の関係者を招いて会議を行い、2つの委員会を新設した。ひとつはグラップリングを中心とした委員会、もうひとつはパンクラチオンなどを中心とした委員会。サブミッションや総合格闘技の世界的普及に大きな一歩となる動きだろう。

英国は言うまでもなく来年夏に五輪が開催される国。実施種目はすでに決まっているので、ここに加わることはありえないが、試合の合間のアトラクションとして披露することはできるはず。どんな形であれ、五輪のマットでグラップリングや総合格闘技が見られることがあれば、普及・啓蒙のうえで大きなステップとなると思う。英国協会の決断を期待したい。

また2016年の五輪は、柔術や総合格闘技の本場のブラジル・リオデジャネイロでの開催が決まっている。現段階ではブラジル・レスリング協会による動きはなく、FILAのグラップリング&パンクラチオン委員会(福田富昭委員長)にブラジル人のメンバーはいない。

土壌のある国で五輪が開催されるのに、普及・啓蒙活動に何のアクションを起こさないのはもったいない。FILAにおける総合格闘技の推進役、日本が音頭をとってブラジル協会を動かしてほしい。(格闘技ライター・樋口郁夫)