今季国内女子ツアーで活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第22回では、「KKT杯バンテリンレディス」で地元熊本の上田桃子に競り勝ちツアー通算2勝目を挙げた西山ゆかり。中学時代は陸上部、高校時代はハンドボール部で鍛えた強靭な体を武器に、安定した成績を残し続ける西山のスイングを、上田らを指導するプロコーチの辻村明志氏に解説してもらった。

【連続写真】トップでの捻転の大きさは必見!西山ゆかりのゆったりスイング
今季は2年ぶりのツアー優勝を飾った西山ゆかりさんですが、彼女のいいところは女子プロの中でも1、2を争うぐらい、ゆったりとしたリズムでクラブを振っていることです。おそらく西山さん自身の中にも、ゆったり、大きく振ろうという意識が根本的にあると思われます。それが最も顕著に表れているのがバックスイングです。できるだけクラブヘッドを体から遠ざけるように上げていき、トップではクラブヘッドが下がったオーバースイングになっています。左肩が十分に回った後、さらに右肩を深く回しているからでしょう。スイングスピードが速いと、さすがにここまで右肩が入ることはありません。ゆったりとしたリズムで上体を捻転しているからこそ、オーバースイングになるほど右肩が回るのです。

アベレージゴルファーでオーバースイングに悩まれる方もいるでしょうが、個人的には悪い動きだとは思いません。それだけパワーを十分に貯めているので飛距離アップにもつながるメリットもあります。ただし、ダウンスイングの切り返しで誤作動が起こらないことが条件です。なぜなら、クラブを下ろすタイミング次第で振り下ろし方が大きく変わってくるからです。クラブをそれだけ大きく動かす分、ダウンスイングでクラブが下ろされる位置がスイングの度に変わってしまえば、安定したスイングとはいえません。西山さんの場合、切り返しでクラブが同じところに下りてくるまで待てる間をつくっています。ヘッドが静止した状態から切り返しを始めるので、ほぼ同じ場所にクラブを下ろすことができるのです。自分なりにピタッとクラブを止められる瞬間を持っていることが、彼女の強みだといえます。

ダウンスイングでは、クラブを上体で下ろすことなく、腰の回転を利用して下ろしています。少し窮屈そうな形に見えますが、それだけ体の近くにクラブを下ろしたいのでしょう。インパクトの直前では左ヒジが曲がっており、あまりいい形とはいえませんが、体の正面でボールをとらえようとする意識は感じます。体は開いていますが、絶対に視線だけはボールの右から外さないようにしているからです。結果的にビハインド・ザ・ボールのかたちをつくっていますが、頭を残していなければ、イメージしたところにボールを打ち出せないと思います。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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