国内男子ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は最終日に“62”をたたき出し、トータル15アンダーまで伸ばした宮里優作が優勝。逆転で賞金王に輝く劇的な幕切れだった。

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宮里は選手会長としてツアーを引っ張ってきたが、在任中に賞金王に輝くのは史上初のこと。今季、JGTO(日本ゴルフツアー機構)のコースセッティング・アドバイザーを務める田島創志はこの快挙に惜しみない賛辞を送った。

「2週間に1回は会議が入ったり、月曜日にイベントが入ればそれに行かなくてはいけない。選手会長だと、普通の選手が休めるシーズン中の月曜日に拘束されることが多いですよね。スポンサーへの挨拶回りなどもちろんもありますが、選手会長は選手たちの代表。いわばプロゴルファーの“顔”であり、他の選手よりも模範的な行動をとることが求められますし、プロゴルファーとしてあるべき姿を体現しなければならない。彼の場合はもとからそういう振る舞いができていた人間ですが、それでもすごく大変なことだと思います」(田島)

オフでもシーズン中でも、他の選手に比べると休養や練習の時間が削られてしまうのが選手会長。その中で年間4勝、しかも居住している名古屋と生まれ故郷の沖縄でカップを掲げ、最終戦では影も踏ませぬ圧勝劇で賞金王の座に駆け上がった。周囲の期待を結果に変えてきた宮里の心の強さには、田島も心の底から感嘆していた。

今季の宮里は平均パット数堂々の1位。自己ベストは2006年の19位で、その後は80位台に低迷することもあったが、今季はグリーン上で強さを見せた。「優作はショットがもともと上手いので、パットのリズムさえ作れば爆発できるタイプ。パッティングは、技術よりもメンタルの強さが重要だと私は思います。選手会長の重圧だったり、ファンに色々なメッセージを発信しようと努力したことが、そのメンタルを成長させた一因ではないでしょうか。もちろん日々の練習や、クローグリップにしてみたりと試行錯誤も大事ですが」(田島)。

JTの2日目には最終18番パー3で4パットをしたが、3日目にはパッティングの際に体重が左に乗りすぎていたのを修正し、2日連続ノーボギーのラウンドを披露した。メンタルが強くなったことで、修正する力も上がり、またパッティングそのものが良くなったと田島は分析。選手会長は「いいメンタルトレーニング」(宮里)と優勝会見時に話していたが、ツアー全体のことを考えながら試合に臨む重圧が、宮里の心を強くしたのだろう。

田島は「スポンサー、選手、そしてファンからも愛されている稀有な存在なんですよ」と宮里を評す。そんな人格者が賞金王になったことは、ゴルフ界にとって重要な意味を持つ。「ゴルフが上手いだけではもうダメな時代。プレーで魅せるのはある意味当たり前のことですからね、プロとして。SNSだったり、メディアも上手く活用しないとゴルフ界は盛り上がらない。いいプレーをするだけでは、もう足りないんですよ。プロは人に見られていることを強く意識しないとダメですし、ゴルフ場以外での立ち振る舞いもちゃんとしないと。優作が賞金王になったことは、色々な意味で影響力があると思う」。練習場でのギャラリーの撮影を許可するなど、ファンサービスやプロの意識向上を目指してきた。宮里の賞金王戴冠により、男子ツアーがさらなる発展に向かうことを期待していた。

今季を「優作や池田勇太、若い選手の壁になる中堅が存在感をだしましたよね。そこに小平智ら今平周吾といった若い選手が出てきたのがいい点。今季は最終日の最終ホールまで誰が優勝するか分からない展開が多かった。接戦になるゲームがとても多かった。それがとても良かったのかなと思います」と総括した田島。「中日クラウンズ」や「カシオワールドオープン」は優勝争いが最終日の18番までもつれ込み、「ANAオープン」や「フジサンケイクラシック」では、ともに三つ巴のプレーオフで雌雄を決した。それらをふまえ、田島が来季に期待することは「もう少し生中継の試合が増えてくれれば。せっかく面白いゲーム展開なので、それがライブで見られるようになればもっと盛り上がるかなと思います」。

ギャラリー数の減少など男子ツアーを取り巻く環境はいまだに厳しい。しかし、今年の“いい流れ”を18年シーズンにつなげることができれば、まだ希望はあるはずだ。

解説・田島創志(たじま・そうし)/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める。

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