<ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日◇3日◇東京よみうりカントリークラブ(7,023ヤード・パー70)>

悲願のツアー初優勝を挙げた舞台で、再び忘れられない思い出を作った。逆転で賞金王になるには優勝しかない、そんな大きな重圧を撥ね退け、この日1イーグル・6バーディの“62”をマークした宮里優作。そのスコアはトータル15アンダー、2位に6打差をつける圧勝劇で今大会2勝目、今季4勝目を挙げ、1700万円差をひっくり返して自身初の賞金王に輝いた。

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序盤から圧倒的なプレーを見せた。2番(パー3)では1メートルのチャンスにつけたが、ライン読みに迷ってしまい、決めきれずパーに。しかし、このミスで心に火がついた。もう迷わない、「決めて打つ」と心に誓った3番(パー4)では2.5メートルを入れてバーディ。これを皮切りに4番(パー4)で4メートル、5番(パー4)でも4メートルを入れてスコアを伸ばすと、6番(パー5)では残り221ヤードのセカンドショットをピン手前1メートルにつけイーグルを奪取。ギャラリーを大興奮させるスーパーショットで他の選手を突き放す。

その後は難関8番でも5メートルを決めバーディ。後半はショーン・ノリス(南アフリカ)の追撃を受けるも、逆にこれで「気を引き締めなおした」と気合を入れなおし、13番(パー4)、17番(パー5)でバーディを奪い、他の選手に影すら踏ませず逃げ切った。

4日間のフェアウェイキープ率は76.79%で29人中2位タイ、パーオン率は83.33%で1位とショットが安定。量産したチャンスをこの日はほぼ決めて見せ、07年にブレンダン・ジョーンズ(オーストラリア)がマークした最終日のベストスコア“61”まで1打に迫るスコアをマークした。

賞金王は「やっぱりなんとも言えない選手として憧れというか…、そうそうなれないものなので」と喜びをかみ締めた。今季4勝を挙げてつかんだ栄誉、年間を通して活躍したものだけに与えられるタイトルだ。「体力がいるし、心技体が求められる。こんなに獲るのが大変なのかと思った」。最終ホールでは勝った充実感よりも、戦いから一時的に開放される喜びのほうが自身の中で勝ったという。

宮里は昨年から選手会長を務めているが、1984年に故・杉原輝雄が初代選手会長に就任して以来、会長在任中に賞金王となったのは史上初のこと。重責を背負いながらの戦いも「(会長は)ハズれクジじゃない。いいメンタルトレーニングになったよ、と言いたいですね」。自分のためだけでなく、ツアー全体のことを考えて戦う。その経験が宮里を強くした。

ここまで今季3勝を挙げてきた経験と、選手会長としての責務。そして、これまでの悔しさや積み上げてきたすべてがゴルフの糧となり、ツアー参戦15年目に大輪の花を咲かせた。37歳での初戴冠は12年の藤田寛之の43歳、93年の飯合肇の39歳に次ぐツアー史上3番目の年長記録。「一生に一回できるかできないか、のことですから早かったとも思います。昔と比べればプレーに厚みができたかな(笑)。でも、これで良いというのはない。この先の40代に向けて、30代のうちにもっとショートゲームに磨きをかけないと」。

この勝利で世界ランクは74位から54位前後まで上がる見込み(JGTO調べ)。再来週はアジアンツアーの最終戦「インドネシアンマスターズ」に、年明けは米国男子ツアーの「ソニーオープン」に出場予定。「4月のマスターズまでに世界ランクをどれだけ上げられるか。それを念頭にやっていきたい」。この賞金王を通過点にさらなる高みへ。「宮里家では藍を超えるには、自分は(海外)メジャーで勝つしかないと思っている(笑)」。遅咲きの宮里家の次男が、これからもっと大きなことをしてくれるかもしれない。

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