ここ最近、米ゴルフ界で最も話題の人物は誰かと言えば、答えは「タイガー・ウッズ」だ。今月30日からバハマで開催されるヒーロー・ワールド・チャレンジで、10か月ぶりの試合復帰を果たすことに大きな注目が集まっているが、その直前の24日には、ドナルド・トランプ大統領、ダスティン・ジョンソンらと突然一緒にラウンドし、さらに大きな注目を浴びた。

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その数日前、オーストラリアン・オープンに出場していたジェイソン・デイは、ウッズとの電話でのやり取りの一部を明かし、「タイガーは、この3年間で今が最も(心身ともに)調子がよさそうだ」と語った。そしてSNS上でウッズ自身が発信した写真や動画を見る限り、「以前よりストレートな球筋になっているし、飛距離も出ている様子。こうなってくると、僕らにとって強敵になる。だって、彼はタイガー・ウッズなんだから」と嬉しそうだった。

振り返れば、ウッズはその姿が目の前にあってもなくても、今年のゴルフ界における「話題の人」であり続けてきた。今年1月末にファーマーズ・インシュアランス・オープンで戦線復帰し、トーリーパインズに詰め寄せた大勢のファンを狂喜させ、その足で渡ったドバイでは背中に痙攣を起こして途中棄権。

4月に4度目の腰の手術を受け、5月末にDUIで逮捕。そこから先は社会へ、試合の場へ、そして試合そのものへ復帰する道を辿り、その一挙手一投足は常に世界のニュースとなってきた。

そんな「タイガー・ウッズ劇場」が繰り広げられる一方で、米ツアーにおける現実の戦いは目まぐるしかった。何より今年のメジャー4大会は、どれも手に汗握る展開だった。

マスターズでは、スペインのセルジオ・ガルシアが37歳で悲願のメジャー初制覇。全米オープンでは、ブルックス・ケプカが14本すべてのクラブをフル活用する秀逸なゴルフで大混戦を制した。全英オープンでは、ジョーダン・スピースがメジャー3勝目を挙げ、全米プロでは、松山英樹を逆転したジャスティン・トーマスがメジャー初優勝を遂げた。

米ツアー選手たちによる投票で昨季のプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに輝いたトーマスは、その通り、昨季、最も目覚ましい活躍を見せた選手だった。メジャー1勝を含むシーズン5勝。フェデックスカップ年間王者の座と10ミリオンのビッグボーナスも手に入れ、世界ランクでもトップ3入り。

そんなトーマスの急成長ぶりは本当に見事だったが、昨季3勝を挙げた松山の活躍と成長も目覚ましく、トーマスのそれとは「紙一重」だったと言えるだろう。

昨年の暮れから今年にかけて、松山とトーマスはほぼ同時期に快進撃を見せ、どちらも「最もホットな選手」の異名を取った。だが、全米プロで競り勝ったトーマスが、メジャー初優勝でも、勝利数やランキングにおいても、一歩だけ松山の先を行く形になった。

とはいえ、紙一重だからこそ、今季、形勢逆転の可能性は十分にある。松山も虎視眈々とそれを狙い、トーマスの親友でありライバルであるスピースはもちろんのこと、彼らと同期のザンダー・シャウフェレ、ダニエル・バーガー、スマイリー・カウフマンらも、昨季のトーマスに刺激を受けて「今季こそは」と意気込んでいる。

そして、もう1人、忘れてはならないのは、「ビッグな新人」となったスペイン出身のジョン・ラームの存在だ。ファーマーズ・インシュアランス・オープンでデビュー早々に初優勝。全英オープン直前には欧州ツアーのアイリッシュオープンを制し、同ツアー最終戦でも勝利して、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞。世界ランキングは4位へ上昇した。

次々に台頭してくる期待の若手選手たち。彼らは米ゴルフ界、いや世界のゴルフ界の貴重な宝。その中に日本の松山が含まれていることは日本の誇りだ。

そんな選手たちがひしめく米ツアーは、今季も昨季同様、いや、それ以上にエキサイティングな展開になりそうである。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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