いよいよ今年の賞金女王は3人に絞られた。鈴木愛が2013年の森田理香子以来となる日本勢女王となるのか、キム・ハヌル(韓国)が日韓マネー・クイーンの座につくのか。はたまたイ・ミニョンがアン・ソンジュ(ともに韓国)以来となるツアー参戦初年度でタイトルを手にするのか。今回は上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏に現在の3人の調子について聞いた。

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辻村氏が、「ここ何試合かを見ていて、行動も含めて練習の充実ぶりを感じる。一番良いショットとパットのバランスを持ってると思う」と太鼓判を押すのは鈴木。「愛ちゃんは自分の姿勢を崩さずにできているし、自分の武器であるパターも健在。ショットも良くなっているし、女王争いの中でも勇気と度胸を持ってプレーできている。状態は良いと思います」

一方で、辻村氏が苦しんでいる、とにらんでいるのがハヌルとミニョン。調子が良くないと感じる部分は2人とも一緒。パッティングだ。

「ハヌルさんは前半戦すごいペースで勝っていったし、安定感抜群でした。ですが、ここにきてラスト10試合くらい、ハヌルさんらしくないゴルフが続いている。それはなぜかと言えば、パッティングが原因。ポロッポロッと短いのを外す回数が増えている。前半は1.5mくらいなら、“決められるから大丈夫”と思って、ファンが見ずに次のホールに歩き出すくらいだったのに。その影響でミドルパット、ロングパットにもズレが出ているように見えます。ショットはいつも通りだと思うけど、パッティングからゲームの流れを作れなくなっている」

ミニョンも同様に、3パットが多くなったと続ける。「ショット力でいえば、今でもツアー屈指。3番アイアンを打てる女子プロなんてほとんどいませんから。ただ、それ以上にパッティングの乱れの方が大きい。ピンに絡むのに、決められない場面が多い。そうなると“もっと近くにつけなきゃ”と、ショットにかかるプレッシャーも大きくなる悪循環に陥っている。無理に攻めないといけなくなって、ここ数試合は自分の得意とするゲーム展開に持ち込めていないように見えます」

2人のパッティングの調子が悪いのは、精神的な影響からくるものだという。「自分の思った感じで打ててないですね。弱くなってショートするし、それを考えて打たないと思えばパンチになる。自分の一定のリズムがとれてない。自分本来のタッチで打てていない」。その原因は手先で調整してしまっていること。ハヌル、ミニョンのフォロースルーが、好成績を残していた頃とはかけ離れているのだと話す。「ハヌルさんもミニョンさんも最後の部分で、手で距離感を合わせにいってしまっているからタッチが合わない。小手先ではリズムが狂いやすいですから。鈴木さんはその点、自信を持って身体の中で打てている。だからショートパットは決まるし、ロングパットのタッチも合う」

対して、鈴木のパッティングに自信を生み出しているのは練習量。「鈴木さんのパッティング練習は、もはや練習というよりも修行に近い。だれにも負けないという強い気持ちは、メンタルが強いと言われることの多い韓国勢に負けないものを感じます。パッティングでは、失敗を恐れてたら中々しっかりとボールをヒットできないし、叩けない。打つ前の不安はいらない。1打というものに集中しきる。それができているのが鈴木さんです」

2人とは逆に、パットが入っているからショットへのプレッシャーが少ない。だから寄る。そんな好循環の中にいる鈴木を、辻村氏は女王候補筆頭に挙げた。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとして、チャレンジツアーで最高2位などの成績を残した。2001年のアジアツアーのQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子や藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場での愛称は“おにぃ”。

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