国内男子ツアー「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」はチャン・キム(米国)の今季3勝目で幕を閉じた。狭いフェアウェイと長いラフ、硬く傾斜のあるグリーン。そして、3日目には最大瞬間風速17.3メートル(名護気象台:4日12時13分観測)の強風が吹き荒れたPGMゴルフリゾート沖縄に多くの選手が苦しめられた。このタフな状況で勝敗を分けたものはなんだったのか、この試合でJGTO(日本ゴルフツアー機構)のコースセッティング・アドバイザーを務めた田島創志が今大会を振り返った。

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「やはりキム選手が勝っていたのは経験でしょうか。ハワイでゴルフを始めた彼は強風の対処の仕方も知っているでしょうし、17歳からはアリゾナ、今回のような地面の硬い場所で腕を磨いてきた。これまでのバックボーンが彼の勝因の1つではないでしょうか」と田島。

また、「彼の言葉は大たたきをしないことを第一に考えていた、と言っていましたが、このクレバーさも勝因でしょう。彼は飛距離が大きな魅力の選手、今回もパー5のセカンドショットをウェッジで打ってのせた、などの“伝説”を残しましたが、今回はそのパワーで手にした勝利というよりも、今季海外メジャーなどで戦ってきた自信や上達した小技、そして大崩れしない的確なマネージメントの勝利でしょうね」。最終日、首位から出たソン・ヨンハン(韓国)は16番で痛恨のOB。トリプルボギーを叩き2位タイに終わった。キムは4日間でダブルボギー以上を出しておらず、今回は力よりも頭=マネージメントで勝ち取った栄光だった。

「彼は海外メジャーに出るときも“日本ツアーの代表として”と言ってくれました。ナイスガイでしすし、飛距離もまだ飛ばそうと思えば飛ばせるポテンシャルがあるので、非常に魅力的な選手です。こうした選手が日本で育ってくれて嬉しいですね」。キムは15年から日本ツアーに参戦し、ゴルフを磨いてきた。今季は「全英オープン」で11位タイに入り、ここまで日本で3勝と大ブレイク。こうしたニューカマーの存在が、国内ツアーの活性化につながる。

今回は多くの選手が“日本っぽくないコース”だと口をそろえた。そして、終わってみれば、日本勢でトップ10にいたのは海外メジャーに出場経験がある池田勇太や藤田寛之、99年に米ツアー参戦した宮本勝昌ら3選手のみ。そして欧州ツアー参戦経験のあるベテランの手嶋多一らが大会を賑わせた。「藤田さんたちはこのコースでもグリーンから逆算してプレーすることができていたのでしょうね。ベテランの皆さんの技には脱帽です。若くても対応できている選手もいましたが、これからもこうした難コースで経験を積んで欲しいですね」と田島。さまざまな環境でゴルフをすることで、対応力は磨かれていく。若手の修練の場としても、世界で戦える選手を輩出するためにも、こうした舞台は今後さらに増えて欲しいところだ。

また、1打差で惜敗した池田のプレーに田島は心打たれたという。「(池田)勇太を見ていて、本当に面白かったですね。あれだけ自分が勝つんだ、勝たなきゃいけないんだって姿勢を全面に出していける選手はそうはいないですよね。引き付けられました」。ホスト大会など、大一番での強さは折り紙つきの池田。時折、ラウンド中の態度などが批判されることもあるが、“絶対に勝つんだ”という鬼気迫る思いを、プレーで表現できる若手が増えることに期待していた。

「今回は“世界基準”のコースで自分の未熟さを痛感させられました。ホールロケーションやコースセッティングをするのに、もっと勉強していかなきゃいけないなと凄く感じました。今回は風の対応に後手後手になってしまって。それで選手に迷惑をかけてしまいましたね。さらに勉強していかないと」と、反省の弁を語った田島。難コースでの試合は選手だけでなく、コースセッティング・アドバイザーも成長させる。先週は国内男子ツアーにとって有意義な一週間になったようだ。

解説・田島創志(たじま・そうし)/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める。

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